読書日記601:きいろいゾウ



タイトル:きいろいゾウ
作者:西 加奈子
出版元:小学館
その他:

あらすじ----------------------------------------------
夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。

感想--------------------------------------------------
サラバ!」の西加奈子さんの作品です。二〇〇八年の作品ですので、もう八年も前の作品になります。

「ツマ」「ムコ」と呼び合う田舎に引っ越してきた夫婦の周囲にはいろいろな人たちと生き物が集まり楽しく暮らしていた。そしてその二人の関係はムコが東京に行く事で変化するー。

この方の作品を読むと、なんて感想を書いていいのか、いつも困ります。感想を書く事や、要約したり、まとめてみたりする事がふさわしくない小説、という印象をいつも受けるんですね。読みながらいろいろなことを感じ、感動するのですが、それをうまく伝える事のできないもどかしさを感じる小説です。ストーリーだけを書くと、なんて言う事のない話。だけどその中には、簡単には書く事のできない、いろいろなことが、詰まっています。なんていうか、すごく感覚的、って言えばいいのかな?

話はツマの視点の語りから始まります。いろいろな人、様々な生き物との出会い、そして最愛のムコさん。アレチさん、駒井さん、大地くん、洋子、カンユさん、コソク、メガデスなどなど。いろいろな生き物と人はみんなとても個性的で、ツマの生活を彩ります。小さい頃に病気で入院していたツマとそのツマに寄り添っていてくれたきいろいゾウ。幸せである事に人はなかなか気付きにくいけど、いまその瞬間にも幸せはあるんだなあ、なんていうことを感じさせてくれる作品です。

いやー、感想を書きにくい。ツマと、作者のエネルギーが満ちあふれた作品で、読み終わるとなんと言うか、とても元気になり、気付かなかった幸せに気付かせてくれる作品、といえるかと思います。小説のストーリーの作りは、なんとなく「サラバ!」と共通しているんですけどね。とてもいい作品でした。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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