2016年06月11日

読書日記596:世界堂書店 by米澤穂信



タイトル:世界堂書店
編集:米澤 穂信
出版元:文藝春秋
その他:

あらすじ----------------------------------------------
世界堂書店にようこそ。米澤穂信が心から愛する傑作小説たちを、アメリカ、イギリス、フランスはもちろん、中国、フィンランド、ギリシアなどなど、世界中から選び抜きました。不思議な物語、意地悪な話、恐ろしい結末、驚愕の真相…まさに珠玉のアンソロジー。

感想--------------------------------------------------
本書は米澤穂信さんの著作ではありません。一流の作家であると同時に多くの作品を読まれていることでも有名な米澤穂信さんが、古今東西、様々な国の短編を選び、編集した作品です。含まれている作品は十五編で、日本、中国、アメリカ、ベルギー、オーストリア、ウルグアイ、ギリシア・・・と著者の国籍も様々、時代も十七世紀の作品からつい最近の作品まで様々、とまさに多種多様です。

本書に含まれている作品を読んでつくづく感じることは、「小説とは決してストーリーだけを楽しむものではない」ということです。行間にあるその時代その場所の雰囲気、精緻に練られた文章の美しさ、小説世界に生きる人々の息づかい、そうしたもの全てが小説なのだ、と感じます。

十五編の小説は長いものでも五十ページ程度、短い作品に至ってはほんの数ページのものもあります。そしてそのプロットも様々で、ストーリーだけを追っていくと「?」と感じる小説もありますが、上に書いた点を意識するとどの作品にも読み手に感じさせる何かが含まれていることがよくわかります。過ぎ去った過去、なかなか行くことのできない世界の彼方を感じる方法は映像だけではない、時に小説の方が映像よりも多くを伝えてくれることがあるのだ、ということがよく分かります。

もう一つ感じたことは、どの作品も訳が抜群にうまいことです。本書に収録されている作品のほとんどが海外の作品であり翻訳を必要とされるのですが、どの作品もとても日本語が美しいです。特に海外作品は、作者の力量はもちろんですが、翻訳家の力量も多分に必要とされるのだ、と実感します。

最後に、本書収録の作品はそのどれもが全く筋が読めません。プロットのうまさも、卓越していると感じます。読み手に何かを感じさせる作品が多く、確かに名作です。ただ、人によっては読みにくさや、意味が感じ取れない作品も多いかと思います。読書の玄人である米澤穂信さんの選であることも意識しておくべきですかね。。。

私にとってはなかなか触れることのない海外の短編名著にわずかですが触れることの出来る良作でした。最後の米澤穂信さんの解説も秀逸です。私個人としては、本書の中では「黄泉から」のストーリーと描写の美しさ、「東洋趣味」の魔都 上海を髣髴とさせる爛熟した時代、場所の描写、「石の葬式」の途中からがらりと変わるストーリー、「連鎖」の昔話のようなプロットなどが印象に残りました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

posted by taka at 12:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 穂信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/438868621

この記事へのトラックバック