読書日記592:戦場のコックたち



タイトル:戦場のコックたち

作者:深緑 野分
出版元:東京創元社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
一晩で忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的、聖夜の雪原をさまよう幽霊兵士の正体…誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く。第7回ミステリーズ!新人賞佳作入選作を収録した『オーブランの少女』で読書人を驚嘆させた実力派が放つ、渾身の初長編。

感想--------------------------------------------------
王とサーカス」に続きこのミスの二位になっていた作品です。初めて読む作家さんです。

コック兵となったティムはノルマンディー上陸作戦から従軍する。そこで出会ったのは眼鏡のエドやディエゴ、ライナスといったかけがえのない仲間たち。しかし戦争はさらに激しさを増していくー。

全350ページほどの作品ですが二段組みでかなり読み応えはあります。全五章にプロローグとエピローグを加えた作品で、各章の中でティムやエドたち仲間が、戦場で出くわす小さな謎を解いていく、という話です。確かに謎解きの要素はありますが、第二次世界大戦でヨーロッパ戦線を戦う連合軍での仲間同士の絆の描写の方が大きいと感じました。この仲間同士の絆と謎解きがうまく融合していて、「コック兵」という立ち位置も謎にうまく絡み、物語を分厚いものにしています。

読みながら、途中からどんどんと面白くなっていく作品です。物語は最初の方こそ訓練の描写だったりしますが後半に行くほど戦闘は熾烈を極めるようになり、戦友たちも失われていきます。正直、戦争映画並みのきつさで、謎解きよりも戦争ものの小説、と言われた方がしっくりくるかもしれません。

謎解き、戦友たちとの出会いとわかれ、戦争に慣れていくティムと仲間たち…。各要素が絡み合い、最後に迎える結末は悲しくもすっきりとした感想を読者にもたらします。分量に見合った、重厚さを読み手に与える作品ですね。第二次大戦のヨーロッパの状況をこれだけ調べ上げた著者の力量にも感服です。重厚であり、すっきりとした感触をも与える良作だと思います。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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