タイトル:ジャイロスコープ
作者:伊坂幸太郎
出版元:新潮社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時…”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。
感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。様々な書籍に書かれた短編を集めた短編集ですね。この人にしては珍しく、文庫です。
本書には全七編の短編が掲載されていますが、それぞれ伊坂作品らしい作品もあり、チャレンジしているな、と思わされる作品もあり、でもやはりどれも伊坂幸太郎作品らしく、ファンとしては楽しめる作品ばかりでした。
本書の中で最もよかったのは「彗星さんたち」ですね。「彗星さん」とは新幹線の清掃係の方たちのことです。東京駅の東北新幹線のホームに行くとよく眼にしますよね。私もよく新幹線使うので眼にすることが多いですが、彼らの会話が中心で成り立っているこのお話は絶妙です。彗星さんたちの心使いやお互いを思いやる会話、そこに微妙に絡むちょっとした謎。読み終えて少し温かい気持ちになるいいお話です。「一人では無理がある」もいいお話ですね。ほっこりとするお話でした。
チャレンジしているな、と思わされたのは「ギア」ですね。近未来を舞台にした、変な生き物の出てくる話です。この話には続編的な話もあるようで、いつか読んでみたいと思いました。
その他の「浜田青年ホントスカ」や「if」、「二月下旬から三月上旬」は伊坂作品っぽいですね。少し謎があり、伏線があり、ユーモアがあり、と安定の面白さでした。そして最後の「後ろの声がうるさい」が全ての話をまとめるお話、という位置付けです。
本書は短編集ですので、長編ほどの重さやボリュームは感じません。しかし伊坂ファンなら読みでしょうね。また最後にデビューから十五年を迎えた伊坂幸太郎のインタビューが載っていました。様々な作品について触れているのですが、私はそこに書かれている全ての作品を読んだことがありました。読んできたなーという感じですが、飽きは全く感じません。この先も伊坂ワールド、楽しみにしています。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
この記事へのコメント