読書日記582:人魚の眠る家 by東野圭吾



タイトル:人魚の眠る家
作者:東野圭吾
出版元:幻冬舎
その他:

あらすじ----------------------------------------------
娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

感想--------------------------------------------------
東野圭吾さんの作品です。書き下ろしで、昨年の11月頃に刊行された作品です。

水の事故で意識を失った瑞穂。脳死に限りなく近い状態となった瑞穂に対して、父の和昌と母の薫子は最先端の医療を施すがー。

重い作品です。「脳死」というテーマがまず重いです。「人の死とは何か、生とは何か」という問題に踏み込まなければならず、実際にこのような方が家族にいる方もいらっしゃることを考えると、余程の覚悟を持ってこのテーマを作品として扱うことを決められたのだろうな、と感じます。

脳死した娘、そしてその娘をなんとかして取り戻そうとする父母、違和感を感じる第三者ー。物語は一人の死を巡り様々な人間の思いがぶつかり、交錯していきます。 各人の抱える葛藤を生々しく描き出す筆力はさすがと、思わされます。

最初は扱っているテーマの重さや各人の思惑の葛藤などから読みにくさを感じたのですが、最後まで読み終えた時には、よい物語を読んだ、と感じられる話でした。ただ、やはり物語だけあってあまりにもきれいすぎる終わり方なので、様々な論はあるかと思い、評価の分かれる作品だとは思います。現実にこのような問題に直面している人からしたら、大きな違和感を感じるかもしれません。ただ、個人的には変に現実的な終わり方よりもよほどよかったかと感じました。

「この世には狂ってでも守らなきゃいけないものがある。そして子供のために狂えるのは母親だけなの」

この一文が刺さります。
また本書 にでてきた心臓移植をせざるを得ない子を持つ親の描写にも胸が痛みました。私も小さな子供を持つ親だからかもしれませんが、子供がこのような状況になったらどうするのか。またこのような事故は可能な限り減らすにはどうすればいいのか。そのあたりを真剣に考えさせられました。

上にも書きましたように客観的にみると評価は分かれると思いますが、本書は個人的には東野圭吾さんの作品の中でもかなり良い作品だと感じました。ベテラン中のベテランですが、まだこれだけの本を出すのか、と思わされ、まだまだ東野圭吾も読まなければ、と思いました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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