読書日記581:HARD THINGS



タイトル:HARD THINGS
ベン・ホロウィッツ (著), 小澤隆生 (その他), 滑川海彦、高橋信夫 (翻訳)
出版元:日経BP社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
強力ライバルからの反撃、会社売却、起業、急成長、資金ショート、無理な上場、出張中に妻が呼吸停止、バブル破裂、株価急落、最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客の解約危機、3度のレイオフ、上場廃止の危機―。壮絶すぎる実体験を通して著者が得た教訓は、あらゆる困難(ハード・シングス)、に立ち向かう人に知恵と勇を与える。シリコンバレーのスター経営者に慕われる最強投資家からのアドバイス。

感想--------------------------------------------------
 ビジネス本の中でも非常に評価の高い本です。読んでみたいと思っていましたが、ようやく読むことができました。

 本書は、スタートアップとして企業を立ち上げ、幾度もの困難を潜り抜けてHPに高額で売り抜けた、「成功した」と評されるCEOである著者が、自分の経験を通して学んだCEOとして必要な資質や、ビジネスのやり方について書いた本です。他のビジネス本との大きな違いは「奇麗事を何一つ書いていない」ということだと思います。成功した企業の共通点を第三者的な視点から分析して描いた本が多いのに対し、本書は実際に死ぬほど苦労した現場の人間の視点で書かれていますので、緊迫感があります。

本書を読んでまず感じたことは、「CEOなんてやるもんじゃないな」ということですね(笑)。本書に書かれているCEOとして著者が経験した困難は並大抵のものではありません。

・ドットコムバブルの崩壊により、取引先の半数の企業が倒産する。
・売上の90%を占める企業から60日以内に製品が改善されないなら取引を停止すると宣告される。
・運転資金が底をつき、あと一月半分しかない。

自分の身に起きたら、と考えるだけでぞっとします。本書にはさらに、「CEOは、どれを選んでも最悪な選択肢の中から選択を迫られることが必ずある」とか、「CEOは、必要な情報が全て揃った段階で決断を下せることはまずありえない」などなど、読みながらもCEOの過酷さを感じさせる文章が並びます。

本書はCEOであった著者の経験に基づいた本ですが、CEOに限らず、自分の仕事に少しでも責任を感じるリーダー層の人にはためになる多くの言葉が掲載されています。特にこれまでの様々なビジネス書にどこか違和感を感じていた人や、現場の緊迫感を感じることのできなかった人にはぜひ読んでいただきたい本です。トップダウンが当たり前の米国とボトムアップが多い日本ではCEOの意味合いは少し変わるかもしれませんが、そのマインドに通じるところは非常に多いです。実際、私は非常に参考になりましたし、本書は借りて読みましたが、手元に置いておきたいと思いました。

部下の評価の仕方、組織の創り方、幹部の選び方など多岐に渡ってかかれていますが、「戦時のCEOと平時のCEOでは、求められる資質が全く違う」といった文章など、考えさせられる部分が非常に多いです。奇麗事だけでなくレイオフ(解雇)の仕方などについてもしっかりと書かれているところが米国っぽいですね。

どろどろとした、本当意味でのCEOの仕事、米国のスタートアップの本当の姿を知りたい、彼らから学びたい、と考えている方にはぜひお勧めの本です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス

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