読書日記576:サラバ! 上



タイトル:サラバ! 上

作者:西 加奈子
出版元:小学館
その他:

あらすじ----------------------------------------------
1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに―。

感想--------------------------------------------------
西加奈子さんの作品です。もともと読んでみたいと思っていた作家さんなのですが、本屋大賞の候補にもなっていて、面白そうだと思って読んでみました。上下巻、各三百五十ページほどの本です。

西加奈子さんの本は初めて読みますが、とても読みやすい本です。書き方もそうなのですが、何より読んでいて「わかる、わかる」と頷ける場面がとても多いと感じます。物語は圷(あくつ)家の長男、歩の出生から始まる物語です。存在感の薄い父、母である前に女であろうとする母、変わり者で常に母とぶつかる姉、そしてそんな家で存在感を消しながら過ごす歩。イラン、大阪、エジプト、再び日本、と場所を変えながら歩の出生から高校時代までが上巻では描かれています。

作者は女性なのに、男子の思春期の考え方をよくここまで書けるな、と感動すら覚えました。変わり者の姉の影響を受けまいと存在感を消す歩、エジプトでの運命的な出会い、そして崩壊していく圷家。とんでもない家族の中でうまく存在感を消して居場所を作り生きようとする歩ですが、その描き方には全く悲壮感がなく、むしろ思わず笑ってしまうような描写が多くて、とても楽しく読めてしまいます。普通に読んだらこんな家庭に生まれたら(特にこんな姉を持ったら)悲劇なのですが、それを感じさせません。これは著者の独特な書き方によるものだと思います。

「姉はまたやらかしていた」
↑この描写、好きです。特に同性のリアルな視点で描いているので、特にいいです。

母の離婚をきっかけに女だらけの家に一人住み、姉が怪しげな宗教にはまり始めた歩。…なんか、連ドラにするにしても奇抜な話なのですが、描写がリアルなのに面白くって、目が離せません。なるほど、この作家さんは売れっ子と呼ばれる訳ですね。…同性の目から見ても歩は中高生にしては自意識が低すぎですね…。なんか植物みたいです。

次巻も続けて読む予定です。楽しみです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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