読書日記559:ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻



タイトル:ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻
作者:宮部みゆき
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
いよいよ動き出した「学校内裁判」。検事となった藤野涼子は、大出俊次の“殺人”を立証するため、関係者への聴取に奔走する。一方、弁護を担当する他校生、神原和彦は鮮やかな手腕で証言、証拠を集め、“無罪”獲得に向けた布石を着々と打っていく。次第に明らかになる柏木卓也の素顔。繰り広げられる検事と弁護人の熱戦。そして、告発状を書いた少女が遂に…。夏。開廷の日は近い。

感想--------------------------------------------------
宮部みゆきさんのソロモンの偽証の「第二部:決意」の下巻です。折り返し点をすぎたところですね。

学校内裁判へ向けて準備を進める検察側:藤野涼子たちと、弁護側:神原和彦と野中健一。周囲の大人たちや友人たちを巻き込みながらも徐々に裁判の日は近付いてくるー。

上巻同様、子供たちの心に寄り添った丁寧な描写は変わりませんね。検事側の藤野涼子、佐々木吾郎、荻尾一美、弁護側の神原和彦、野中健一。彼らの心理描写は抜群です。特に際立っているのは、上巻の感想にも書きましたが野中健一の描写です。藤野涼子と神原和彦の二人は中学生?と思えるほどの頭脳の切れを見せますが、野中健一はほんとうによくいる中学生として描写がされているため、読み手としても親近感が湧きます。この野中健一を軸に、物語は上巻に加えて少しずつ進展を見せていきます。

下巻では上巻になかった新しい謎や動きが見えてきます。その一つが弁護側である神原和彦ですね。彼は何者なのか?彼は死んだ柏木卓也とどのような関係にあったのか?彼は柏木卓也の死にどのように関与しているのか?これらの謎が少しずつ膨らんでいくのが本巻ですね。そして本巻では本物語りの最初、「第一部:事件」上巻の冒頭部分に出てきた小林電器店が登場します。そして冒頭部分に登場した電話ボックスの少年が誰なのか?という謎に戻っていきます。

このあたりの物語展開はやはりうまいです。膨大なページ数を費やしているだけあって物語の展開もゆっくりなのですが、決して飽きることはありません。少しずつ、しかし確実に物語は展開し、新しい事実と新しい謎を提示しながら物語は進んでいきます。そしてすべての謎と、いくつかの嘘を混ぜながら、物語は最後の舞台、法廷へと進んでいきます。

本巻を読んでいると、やはりこの神原和彦という得体の知れない少年が物語のキーパーソンのように感じられます。柏木卓也の死にどのような形で彼が関与していたのか、他校の生徒でありながら、なぜ彼が弁護側に立ったのか、その謎がおそらく最後の法廷で明かされるのだと思います。・・・しかし、ミステリファン、宮部みゆきファンとしては、もう一捻りがほしいですね。最後に明かされる真実と同時に、読者が予想もしていなかった新しい事実が明かされたりすると、最高です。

最後の「法廷」も楽しみに読むことにします。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス

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