タイトル:インデックス
作者:誉田 哲也
出版元:光文社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
池袋署強行犯捜査係担当係長・姫川玲子。所轄に異動したことで、扱う事件の幅は拡がった。行方不明の暴力団関係者。巧妙に正体を隠す詐欺犯。売春疑惑。路上での刺殺事件…。終わることのない事件捜査の日々のなか、玲子は、本部復帰のチャンスを掴む。気になるのは、あの頃の仲間たちのうち、誰を引っ張り上げられるのか―。
感想--------------------------------------------------
「ストロベリーナイト」から始まる女性刑事 姫川玲子が活躍するシリーズの作品です。本作は全八編から構成される短編集です。
池袋署に異動となった姫川は、池袋署でも変わらずに様々な事件を担当していく―。
表題作「インデックス」を含む全八編からなる短編集です。短編であるはずなのに、相変わらず中身は濃く感じられます。そして本作の特徴として、姫川を取り巻く人間に、いつもの面々に加えて新たな人間が加わっていきます。このあたり、物語に変化をつけようとしている著者の意図が感じられます。
物語は様々な切り口の問題を扱った物語が描かれていますが、私が特に印象に残ったのは最後の二編、「夢の中」と「闇の色」です。八編のうちこの二編だけが一続きになった作品となっているのですが、本当に心が痛くなる作品です。最近では現実にこのような事件が多く発生していますが、物語を読み終えても心には痛みが残されますね。救いは物語の最後に現れる、かつての姫川の部下とのやり取りでしょうか。
上記の二編もそうですが、他にも「お裾分け」や「女の敵」など昨今の社会門愛を取り上げた作品が多いです。しかし一方で「彼女のいたカフェ」や「落としの玲子」のようなちょっと一息つけるような作品もあり、相変わらず読み応えがありつつもほろっとくるところや笑わせるところもある満足のいく作品と感じられました。安定して読める刑事者ですね。次回作も楽しみです。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
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