読書日記531:知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代



タイトル:知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代

作者:田坂 広志
出版元:光文社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?目の前の現実を変革する「知の力」=「知性」を磨くための田坂流知性論。


感想--------------------------------------------------
「知性を磨く」というタイトルと、「なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?」というキャッチフレーズに惹かれて読んでみました。著者はシンクタンクでの活動から、取締役やシンクタンクの設立などにも関っている方で、世界経済フォーラムや世界賢人会議にも出席され、内閣官房参与も経験されている方です。

本書の構成ですが、全二百ページ強の厚さの本に二十五の話が掲載されており、各話でそれぞれ著者が持論を展開する、というスタイルです。各話はすぐ読め、そんなに分厚い本ではないので割と簡単に読める本です。

内容ですが、「知性」と「知能」の違いから始まり、これからの世の中に必要とされる「スーパージェネラリスト」という人材、さらにスーパージェネラリストに必要とされる「思考」、「ビジョン」、「志」、「戦略」、「戦術」、「技術」、「人間力」という「七つのレベルの思考」そして「多重人格のマネジメント」と多岐にわたります。


「知性」とは答えの無い問いに対して、割り切ることなく、問い続けることである。


これが本書を読んで最も印象に残った言葉です。少し考えれば日常にも「答えの無い問い」というのは溢れていることに気付くと思いますが、これらの問いに対して簡単に割り切ることなく、問い続けることが知性を深めることに繋がる、と本書では言っています。思考を深める、とでも言いったらいいでしょうか。ここの部分には非常に納得できます。

「スーパージェネラリスト」という人材を本書では上記の七つのレベルの思考を「垂直統合できる人材」と評しており、事故を起こしながらも奇跡的に生還したアポロ十三号の主席飛行管制官を勤めていたジーン・クランツを例としてあげて説明しています。非常にハイレベルな例ですが、読み手に「スーパージェネラリスト」という人材がどのような人材かは、よく伝わってきます。

全般的に非常にいいことが書かれているのですが、気になるのは全ての論が著者の思考のみを出発点としている点です。客観的事実に基づいた分析や、一般的資料を基にしていないため、完全にこの著者の思考を学ぶための本、となっています。また一方で非常に話題が多岐にわたるため、一つ一つの話題にさかれている文章の量が少なく、どこか表面的に感じてしまいます。

これは一重に、これだけの内容をこのページ数で書くことに無理があるためですね。本書はこの著者の思想を学ぶための入り口の本、と考えた方がいいかもしれません。本書の中では著者の作品がいくつも紹介されています。ちゃんと読むと本書だけでは必ず物足りなくなると思いますので、興味をもたれたらあわせて著者の作品を何作か読むことをお勧めします。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
レビュープラス

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