読書日記516:統計学が最強の学問である by西内 啓



タイトル:統計学が最強の学問である
作者:西内 啓
出版元:ダイヤモンド社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人が、その本当の魅力とパワフルさを知っているだろうか。本書では、最新の事例と研究結果をもとに、今までにない切り口から統計学の世界を案内する。

感想--------------------------------------------------
本書は一時期、ベストセラーとなった作品です。先日紹介した「ビッグデータの正体」では昨今話題のビッグデータについて語られていましたが、本書では統計分析手法を用いたデータの分析方法について書かれています。「統計」というと高校数学で少し習い、大学の授業でさらに少し習った程度ですが、著者はこの「統計学」を「最強の学問」と位置付けています。

本書では「なぜ統計学が最強の学問なのか?」というその理由の分析から始まり、統計学の内容や用語の説明、統計学の様々な種類・応用にまで話が及んでいます。統計という言葉に馴染みはなくても内容は理解できるように書かれており、理解しやすい本かと思います。

「統計学」という学問は世の中のいたるところで使われ、役に立つ学問だ、というのが読んでの感想です。マーケティングに代表される企業活動でも本当にちゃんとデータを集め、統計学的手法を適用すると、様々なことが浮かび上がってくることがよくわかります。統計分析をうまく使えば、不必要にデータを増やすことなく、適切なデータ数で、信頼性の高い分析ができることが科学的にも証明されており、その効果は絶大です。これも「最強の学問」と呼ばれるゆえんでしょうね。

ビッグデータにも触れていますが、本書では「実際にビッグデータが必要とされる場面は多くない」と言っています。Google翻訳のような言語という膨大な集合体を対象としない限りは、先に述べたように適切なランダムサンプリング(これが実は難しいようですが…。)を行うことで、かなり確かな結果を得られるようです。

これも上述した「ビッグデータの正体」と比較すると、本書の立ち位置がより明確です。「ビッグデータの正体」では「膨大なデータの前では因果関係は意味をなさなくなり、相関関係が全てとなる」と言っていますが、本書では「そのデータを分析する統計手法を正確に把握しないとデータが意味をなさない」と言っているように見えます。

本書の後半では統計学を社会調査法、疫学・生物統計学、心理統計学、データマイニング、テキストマイニング、計量経済学という六つに分類しそれぞれの特徴について述べていますが、個人的にはここが最もおもしろかったです。統計学者がこんなに緻密に分類されることも、それぞれの立ち位置や社会への関わり方など初めて知りました。

あとがきも秀逸です。

おそらく我々がすべきことの多くは、すでに文献やデータの上では明らかなのである。だがそれを現実のものとして実行するまでのギャップが我々を「最善」から遠ざけているのではないかと思う。
統計学の素晴らしいところはこうした「最善」への道を最も速く確実に示してくれるところではないかと思う。
統計リテラシーによって手に入る最も大きな価値は、自分の人生がいつでも最善にコントロールできるという幸福な実感なのだ。

この言葉からも統計学をなぜ著者が最強と位置付けたのか、わかる気がします。闇雲に道を探るのではなく、過去のデータや実験などを利用し統計学を適用すれば、「最善」への道が開けるわけですね。しかもこれは本書で紹介されている生物学、疫学、経済学だけでなく、いかなる分野にも応用できるのですね。統計についてもう少し深く勉強してみようと思わせる本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
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