読書日記504:2100年の科学ライフ



タイトル:2100年の科学ライフ
作者:ミチオ・カク (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
出版元:NHK出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
コンピュータ、人工知能、医療、ナノテクノロジー、エネルギー、宇宙旅行…近未来(現在~2030年)、世紀の半ば(2030年~2070年)、遠い未来(2070年~2100年)の各段階で、現在のテクノロジーはどのように発展し、人々の日常生活はいかなる形になるのか。世界屈指の科学者300人以上の取材をもとに物理学者ミチオ・カクが私たちの「未来」を描きだすー。


感想--------------------------------------------------
本書の著者は、理論物理学の教授であり、「ひもの理論」の創始者の一人でもあります。またサイエンス・チャンネルのテレビ番組の制作も担当されており、科学全般について一般人に分かり易く伝えることに関して定評のある方です。そのような方が、約百年後の人類の持つ科学技術力について予見した書籍と言うことで、読んでみました。

本書は非常に多くの、様々な科学分野の第一線で活躍する人へのインタビューを基に作成された本です。従ってその内容については非常に信憑性が高いです。百年後の科学について根拠のない予言を展開するわけではなく、様々な分野における現状の研究状態を基に「二千百年にはここまでできているだろう」という予測を立てて書いています。著者自信も科学の一線で活躍される方ですので、単なるSF物語ではなく、信頼性の高い予見となっています。

一方で科学の様々な分野について事細かに四百五十ページに渡って書かれていますので、ボリュームはかなりあると感じました。コンピューター、人工知能、ナノテク、エネルギー、宇宙旅行、医療など多くの分野にわたって書かれており、その内容については驚くばかりです。二千百年の科学についても驚かされますが、「こんなことまでできるのか」と科学の現状にも驚かされます。

本書の最終章「二一〇〇年のある日」には百年後のある日を生きる一人の人間の姿が描かれています。老化や病と無縁で、ナノマシンと供に生き、様々な箇所にコンピューターが埋め込まれ、宇宙にも簡単にいけるようになる未来—。そのような未来はばら色のようにも見えますが、しかし一方で著者は、タイプ0と呼ばれる現代から、そのようなタイプ㈵の未来に移行するには様々な苦労がかかるとも予言しています。争いから脱却し、助け合って生きていくことが出来るのか、人類の未来はこの百年で決まる、と言っても言い過ぎではないかもしれません。

この本で描かれている百年後の世界はまさに夢のような世界です。しかし一方で、百年前の世界にはまだインターネットもなく、宇宙に行くことも、コンピューターの普及も想像さえできなかったのでしょうね。現状の科学の最前線で何が起きているのか学びながら、百年後の世界に思いを馳せる—。そんなことのできる本だと感じました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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