読書日記475:影法師 by百田 尚樹



タイトル:影法師
作者:百田 尚樹
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0』に連なる代表作。



感想--------------------------------------------------
ベストセラーとなった「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」の作者、百田尚樹さんの作品です。作品毎にテーマが変わる方ですが、この作品は時代ものですね。江戸時代の茅島藩という仮想の藩での出来事を描いた作品です。

茅島藩の筆頭家老である名倉彰蔵は、磯貝彦四郎の死を知った。磯貝彦四郎は彰蔵の竹馬の友であり、頭脳明晰、剣の達人でもあった—。

磯貝彦四郎と、名倉彰蔵こと戸田勘一。本作は二人の男の友情の物語です。父を失い、悲嘆に暮れる勘一とそれを叱咤する彦四郎。いつしか固い絆で結ばれた二人はある事件をきっかけに袂を分かつことになりますが、それから数十年の後に起きた事件が再び二人を結びつけていきます。

時代劇ではありますが、以前に紹介した浅田次郎さんの「一刀斎夢録」や冲方丁さんの「光圀伝」のような重厚さはありません。従って時代劇独特の趣や粋といったものはそこまで感じさせませんが、一方で非常に読みやすく、すらすらと文章が頭に入ってきます。

百田尚樹さんの上手さは本作でも存分に生きているのですが、この方の上手さはそのストーリー展開なのかなと、感じます。それは舞台がどのようなものでも関係なく、生かされています。伏せられた謎、語られる過去、そして分かる驚愕の事実—。王道的なストーリー展開なのですが、読み終えたときには清々しい感動があります。「一刀斎夢録」ほどの完璧な読了感は感じず、どちらかというとあっさりとした終わり方ではあるのですが、それでも読み手をここまで惹き付けるのはさすがに上手いなあ、と感じます。良くも悪くもひねたところが全くないんですね。素直に感動できる作品です。

上にも書きましたが、読みやすくひねたところがないため、三百ページを超えているのでかなりあっさり読める作品です。逆に言うと、こういう作品を書ける方だからこそ、多くの方がこの方の作品を読み、支持されるのかな、と感じます。なんというか、時代ものの入門書のような読みやすさです。

本書には多くの登場人物が現れますが、その誰をも憎むことができず、いい人で、それがまた感動を誘います。こうした物語の創り方は、この方の作品の全てに共通しているのですが、やはり上手いです。ストーリーを書くのはお手の物なのでしょうね。

「永遠の〇」や「海賊と呼ばれた男」などメジャーな作品は読んできましたが、まだまだこの方の作品は楽しめそうです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


↓よかったらクリックにご協力お願いします
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
レビュープラス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/393882997

この記事へのトラックバック