コミック日記123:岸辺露伴は動かない by荒木飛呂彦



タイトル:岸辺露伴は動かない
作者:荒木飛呂彦
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。好奇心に溢れ、リアリティを追求する彼が、さまざまな取材先で体験した恐怖のエピソードとは…!? 『懺悔室』『六壁坂』『富豪村』『密漁海岸』『岸辺露伴 グッチへ行く』の5編を収録。


感想--------------------------------------------------
 荒木飛呂彦さんの名作「ジョジョの奇妙の冒険」。その第四部に登場するキャラクターで、漫画家でありスタンド「ヘブンズ・ドアー」の使い手である岸部露伴を主人公としたスピンオフ漫画が本作です。本書は全五編の短編集となっています。スタンドバトルが繰り広げられる本編と違い、ミステリーやホラー的な要素を含んでいる点が、本書の魅力ですね。


漫画家である岸部露伴は、漫画の題材となるネタを探すために今日もあちこちに出かけ、不思議な事件に巻き込まれていく—。


荒木飛呂彦さんの持ち味全開ですね。
この方の作品の魅力は個性的なスタンドはもちろんそうなのですが、むしろ各キャラクターの個性の描き方の部分ではないかと感じます。本作では特に脇役とのやりとりですね。短編「六壁坂」での編集者との「ド・スタール」の画集を巡るやり取り、短編「富豪村」での編集者との会話、短編「密漁海岸」でのトニオ・トラサルディーとのやり取りなどです。特にトニオと露伴のやり取りで見せる、「密漁します」「だから気に入った」の会話は、作者も「描きたかった」と描かれていますが、トニオと露伴をより一層、魅力的なキャラクターとしています。

あとはやはり露伴先生とスタンド ヘブンズ・ドアーですね。対象を本にして、内容を書き込むことで行動を制限できるというこの能力はある意味で万能で使い勝手が良く、このようなミステリー、ホラーの物語によくあっているように感じます。露伴先生もとことん我が儘で自分勝手ですが、それがまた魅力的でもあります。

本書に掲載されている最後の短編は「岸部露伴グッチに行く」ということで実際にグッチを訪問した際の話を、短編に仕上げています。こうしたファッションブランドなどの『美』の世界と荒木飛呂彦さんの絵はすごくよく合いますね。別の作品になりますが、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』という作品も出ていますし、ファッション雑誌「SPUR」の表紙を荒木飛呂彦さんの絵が飾ったことも有名です。

本編も気になりますが、このスピンオフもぜひ今後も続けて欲しいと感じました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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