読書日記451:皇国の守護者1 - 反逆の戦場 by佐藤 大輔



タイトル:皇国の守護者1 - 反逆の戦場
作者:佐藤 大輔
出版元:中央公論新社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
氷雪舞う皇国北端の地に、鋼鉄の奔流が押し寄せた。圧倒的軍事力を誇る帝国軍怒涛の進撃に、皇国軍は為す術もなく潰走する。殿軍を担う兵站将校・新城直衛中尉は、死力を尽くして猛攻に立ち向かうがー!?真の「救国の英雄」の意義を問う大河戦記、開幕!書き下ろし短篇「観光資源」を収録。



感想--------------------------------------------------
本作、「皇国の守護者」は漫画化もされている作品です。表紙絵を見たことはあったのですが、未読です。興味があって手に取って読んでみました。

突如として「皇国」への侵略を開始した「帝国」。厳冬の地で敗軍の殿を引き受けた新城は、圧倒的な勢力で押し寄せる帝国軍にわずかな手勢で対抗していくー。

本作は架空の世界を舞台にしたファンタジーです。帝国=ロシア、皇国=日本と置き換えると非常に分かりやすいです。部隊はほぼ十九世紀の世界と同じで、武装も銃や大砲はありますが戦車などは現れません(少なくとも一巻の段階では)。代わりに獰猛な虎のような動物「剣牙虎」と共に戦ったり、龍が現れたりと、ファンタジーの要素は幾分、含まれています。

強大な帝国の侵略を受けた皇国の殿を務める新城の視点で物語は展開していきます。少数の疲弊した軍でなんとか敗軍を逃がそうと奮闘する新城。その描き方はストイックで、新城も決して善人として描かれているわけではなく、臆病で卑劣でありながら友軍のために奮闘する一軍人の姿として描かれています。

物語には多少のファンタジー要素が含まれるものの、基本的には軍隊同士の衝突を描いた軍事小説的な話です。それなりに面白くは読めるのですが、個人的にはもう一つの点も目立ちます。まず魅力的なキャラクターが少ない点。主人公の新城をはじめ、各登場人物があまり魅力的に写りません。誤ってではあっても子供を殺したりと、ちょっとどうなの?って思う点が多いです。次にところどころに入る時代背景や武器などへの詳細な説明。ある程度は許容できるのですが、鉄砲の種類、大砲の種類、帝国の成り立ち、などなど非常に緻密です。いい面もありますが、正直に言ってしまうと冗長に感じました。時間や距離の単位も物語内独自の単位系で語られているため、複雑で分かり憎い部分がありました。

最後はやはりストーリーですね。ファンタジーなのにファンタジー的な要素が一巻を読み終えた段階ではほとんど感じられません。これだと普通に史実(例えば日露戦争)に基づいた戦争小説の方がやはり真実味を感じるため魅力的に写ります。ファンタジー色を前面に出すのならば、いっそのこと「銀河英雄伝説」ぐらいに壮大なストーリーで二勢力の対立を描いてしまえばいいでしょうがそこまではいきません。最近は「ローマ人の物語」を読んでいるせいでそう感じるのかもしれませんが、史実の戦いと比べてしまうと史実の方が真実味があり、ドラマチックで面白いです。

全体的に、私にとっては中途半端に感じられる作品でした。むしろ漫画の方が評価が高いようなので、そちらを読んでみようかな、と思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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