2013年11月20日

読書日記449:夢を売る男 by百田 尚樹



タイトル:夢を売る男
作者:百田 尚樹
出版元:太田出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦…。牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とはー。現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。



感想--------------------------------------------------
永遠の0」や「海賊とよばれた男」と大ヒット作を連発している百田尚樹さんの作品です。一作ごとに異なるテーマを取り上げている方ですが、本作で取り上げているのは「出版業界と小説家」です。

丸栄社に編集者として勤める牛河原は作家を志す人間にジョイントプレス方式という出版方式を持ちかける。それは出版社と作者が共同で出資して本を出版する方式だった−。

本書は特に文章を書く人間にとっては非常に面白く読める本かと思います。
このブログを書いている私も、非常に面白く読めました。
本書で描かれているのは、自分の虚栄心や自己顕示欲のために本を出版しようとする人々と、そういった人々に出版という夢を与えて金を稼ぐ出版社の編集者の姿です。自分は凄い男だ、私は他のママ達とは違う、そう思い込んでいる虚栄心と自己顕示欲に満ちた人々に「出版」という夢を見せて法外な金をとっていくわけです。もちろん、こうした人たちの書いた本など売れるわけないですが、それでも出版という夢をかなえたことで満足するわけです。本書に描かれているような人々はきっと実際にいるのでしょうね。皮膚の下に隠された虚栄心や自己顕示欲がこれでもかとばかりに描かれていて、読んでいて滑稽です。

本書には他にも今の出版業界と小説家の現状が、『こんなに書いちゃって大丈夫なの?』と不安になるくらいに赤裸々に書かれています。滅多切りですね。本書は大田出版から出版されていますが、他の出版社からはきっと出版できないのではないでしょうか。

本書は丸栄社の編集者:牛河原を中心にした全十章の話で構成されていますが、特に面白かったのは、五章の「小説家の世界」ですね。ダメすぎる売れない小説家と、そんな小説家の本を出版せざるを得ない出版社の姿がボロクソに書かれていて笑えてきます。全く売れないのに虚栄心だけが残されたどうしようもない作家たち。百田尚樹さんだからこそ、ここまで描けたのでしょうね。


「小説を書く奴なんて、たいてい頭がおかしいんだ」


本作の中での牛河原の台詞です。こういう台詞を書いている百他尚樹さん自身も小説を書いているわけですから、自分で自分のことを「頭がおかしい」と言っているわけですよね。こうした台詞、現在の文学界、出版業界を憂える台詞があちこちに散りばめられていて、本当に面白かったです。にやにや笑いながら読んでしまいました。


「毎日、ブログを更新するような人間は、表現したい、訴えたい、自分を理解してほしい、という強烈な欲望の持ち主なんだ。こういう奴は最高のカモになる」


編集者 牛河原の言葉です。かくいう私もブロガーですので、虚栄心をくすぐられて法外なお金を出さないように気をつけねば…なんて思いながら読んだ本でした(笑)


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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posted by taka at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 百田 尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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