2013年06月29日

読書日記425:JORGE JOESTAR by舞城王太郎



タイトル:JORGE JOESTAR
作者:舞城王太郎
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ジョナサン亡き後、カナリア諸島ラ・パルマ島でエリナと暮らす少年ジョージ・ジョースターは、リサリサと愛を誓い、成長してパイロットとなり世界大戦の空を駆る。その一方、日本では福井県西暁町のジョージ・ジョースターが運命とともに杜王町へ向かう・・・。超ドドド級スケールで描く「舞ジョジョ」ここに誕生。


感想--------------------------------------------------
ジョジョの奇妙な冒険と著名な作家さんのコラボ企画、「VS JOJO」の第三弾が本書です。著者は「煙か土か食い物」でメフィスト賞を受賞し、「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞を受賞されている舞城王太郎さん。ずっと以前に「阿修羅ガール」を読みましたが、非常に個性的で、その独特の文体とどこにつながるか分からない構成は他の作家さんが決してまねできない物だと感じました。

カナリア諸島で母エリナと幼馴染のリサリサとともに育ったジョージ・ジョースターはアントニオ・トーレスといういじめっこにいじめられる日々を送っていたー。

改めて言うことではないかもしれませんが、vs JOJOシリーズはどの作品もジョジョの奇妙な冒険を知っていることが前提の作品です。第一弾の「恥知らずのパープルヘイズ」が第五部、第二弾の「Over Heaven」が第三部を舞台としているのに対し、本作の主人公ジョージ・ジョースターは、本編ではあまり語られていませんが、第一部の主人公:ジョナサンの息子にして第二部の主人公:ジョセフの父親です。従って第一部と第二部を知っていることが前提となる、と言いたいのですが、後半に行くと展開がめちゃくちゃになってくるので、第七部「スティールボールラン」まで完読されてから読むのがお勧めです。

物語は、最初は小学生時代のジョージの日常から始まり、その成長の日々や幼馴染のリサリサ(もうすでに波紋を使える!)との関係の話が語られていくのですが、さすが舞城王太郎さん、ツクモジューク(九十九十九)という友達をきっかけとしてあっという間に物語がとんでもない方向に進んでいきます。時空を超えた世界に住むもう一人のジョージ・ジョースター。そして発生する殺人事件、不思議な建物、密室トリック・・・。物語がどこに進んでいくのかわからずに、それでも著者の文章に引っ張られるように物語を読み進めてしまいます。

しかしこの著者の物語のけん引力はすごいですね。途中から完全に物語として破綻してきているような気がするんですが、それでも構わず最後まで突っ走るこの物語には、物凄い熱を感じます。また本作は「ジョジョの奇妙な冒険」の「サイドストーリー」や「語られなかった真実」などではなく、「ジョジョの設定を使った完全に別の物語」でしょうね。他の方の書評で「これはジョジョではない」という言葉をよく目にしますが、まさにその通り、これはジョジョではありません。ただ、物語の密度と熱は物凄く、全く別の物語として読めば、かなり面白い部類に入るのではないかと思います。

しかし著者はジョジョが心底好きなのでしょうね。多少ネタバレになってしまいますが、物語の後半から最後にかけてはジョジョの設定やキャラ、スタンドのオンパレードです。そして部を超えて彼らが集まり、戦い、物語のスケールをとんでもなくでかくしていきます。ディオ、カーズ、吉良良影、ディアボロ、プッチ、ヴァレンタイン大統領・・・。彼らがさらにとんでもない能力を従えて現れ、バトルを繰り広げます。「ディオとカーズ、戦ったらどっちが強い?」みたいなジョジョファンなら考えそうなことを本作では実現してくれていますが、そのスケールがあまりにでかすぎて、もはや完全にジョージ・ジョースターの物語ではなくなってしまっています。

読み進めながら、いったい物語をどこに着地させるのかと思っていましたが、なんとなく無難な着地のさせ方であったとは思います(全くジョジョではないですが)。「ジョジョ好きの人の書いた本」であり、ジョジョのファンブックではあると思うのですが、「ジョジョへの愛」や「各登場人物の意思への敬意」やジョジョのテーマである「人間賛歌」が感じられるかというと、それは残念ながらないですね・・・。はちゃめちゃな展開、バトルが繰り広げられる、B級映画的な作品です。しかしそれでもページ数にして800ページ弱、しかも字が細かく文章の密度が濃いため実質的には1000ページ近くに感じられる作品を投げ出そうとは思いませんでした。それだけ読ませる力は確かだと感じました。

「後々それをつなげ合わせて最終的に意味が通ればいいんだ・・・、謎が現れるたびにいちいち考え込んでも全ての情報が揃わない限りはどうせ答えなんて出ないんだよ・・・」

これが本作で最も印象に残った言葉です。これがきっと著者の作品を書くスタンスなのでしょうね・・・。物語的には落ちのついていない箇所がたくさんあり、決してジョジョではないのですが、読み手を引き込む文章力のある作品ではあると思いました。


ちなみに、これでvsJOJO企画+αのジョジョ関連本をすべて読んだことになりますが、勝手に個人的に順位をつけてみました。
四位:「Over Heaven by西尾維新」
    ディオを描いているが、これはディオじゃない。
三位:「ジョージ・ジョースター by舞城王太郎」
    物語の密度も濃くて面白いけど、これはジョジョじゃない。
二位:「恥知らずのパープルヘイズ by上遠野浩平」
    完璧なジョジョの続編。戦闘シーンとか秀逸。スタンドも考えられていて○
    ただ、ジョジョではあるけど、著者の個性が生きているかは微妙。
一位:「The Book by乙一」
    ジョジョの話でありながら、乙一さんの作品でもある。人間の心の物語でありつつ、スタンドバトルも精神的な駆け引きまで含めて書かれていてジョジョを知らなくても読める本。完璧。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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タグ:ジョジョ
posted by taka at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | JOJO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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