コミック日記107:進撃の巨人(10) by諫山 創



タイトル:進撃の巨人(10)
作者:諫山 創
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。

ウォール・ローゼ付近に突如現れた巨人の群れ。104期の面々を含む調査兵団は巨人の発生地点特定を急ぎ、ローゼ付近のウトガルド城で夜を明かすことに。だが、夜は活動できないはずの巨人が城を取り囲み‥‥!


感想--------------------------------------------------
気が付けば、もう大台の二桁にのりました。進撃の巨人の十巻です。テレビシリーズも始まり、いま絶好調の漫画です。


壁の穴らしき場所から侵入してくる巨人達を止めに出撃した調査兵団。一夜を過ごすために駐留した古城で、ライナーたちは巨人の大群に遭遇する—。

本巻では、物語が特に後半にかけて大きく動きます。物語の最初に姿を現わし、壁を壊すことで惨劇を生み出した超大型巨人と鎧の巨人。彼らに関する秘密が明らかになっていきます。予想外の展開といえば、予想外の展開なのですが、、、なんか、あまりにも展開が急すぎて、大丈夫なのかな?というのが正直なところですね。全て計算ずくの上でこの展開を創り上げているのならいいのですが、なんか「少し人気が落ちてきたから思い切った展開でてこ入れしなきゃね」的なのりで生み出された展開だとするとちょっと残念です。まあ、これだけ売れているのですし、前者なのでしょう。


本巻の主人公が誰かというと、それはクリスタでありユミルであり、ライナーでありベルトルトなのだと思います。特にクリスタとユミルは「自分のために生きる」ということの意味について戦いの中で見出して行く、その過程がいいです。


自分のために生きろよ!!
こんな塔を守って死ぬくらいなら、もうこんなもんぶっ壊せ!!!


この漫画は、戦闘の中でこうした普遍的な言葉をよく使いますね。戦闘の中で、生きるか死ぬかの最前線の中で生み出されるこれらの言葉には説得力があり、読み手に凄くよく伝わってきます。この漫画のポイントは何かと考えると、もちろん巨人相手の凄まじい戦闘シーンもあるのですが、こうした「生きるか死ぬかの瀬戸際にいる」感の描き方の凄さかな、とも思います。作者自身、本当に戦争の最前線にでもいたのではないか、と思えるほど、命を危険に曝している彼ら調査兵団の心情の描き方がリアルです。

しかし一方で人の描き方は、ちょっと微妙に思えてきますね。主人公であるエレン、ミカサ、アルミンの三人はいいのですが、アニ、ユミル、ベルトルトといったあたりはこれまでそんなに登場してきていないのに、随分と重要な役回りが与えられていて、もっと前もって描きこんでいてくれればいいのに、とか思ったりもします。…まあ、いかんせん登場人物が多いからしょうがないかなとも思えますが。

ともあれ、いまこの瞬間、十巻最後での盛り上がり方は半端ないです。本作、シリーズ通じてこれまでで最高の見せ場ではないでしょうか。十一巻への期待が嫌が応にも高まります。…しかしこうなってくると、やはり物語のカギはエレンの父親と、彼が持っていた地下室にあるようですね…。次の巻も実に楽しみです。

あと、テレビアニメもついこの前から始まりましたが、、、コミックと比較して絵がとても美しく、コミックでは分かりにくい日の光や緑がとても生きていて、凄く質が高いです。しかしその分、巨人によって繰り広げられる惨劇の図も真に迫っていて、正直言って心の弱い人は見るのを止めた方がいいのではないかとさえ思いました。特に第一話の最後、エレンの母親が巨人に・・・・・・の部分は正視に耐えません。。。質は物凄く高いです。ただ、その分、コミックもそうですが、人を選ぶ作品であることは間違いないと思います。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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