タイトル:乙嫁語り 5巻
作者:森 薫
出版元:エンターブレイン
その他:
あらすじ----------------------------------------------
19世紀・中央アジアの生活文化を漫画で再現する『乙嫁語り』、シリーズ第5巻!
やんちゃな双子のライラ&レイリにも、ついに結婚相手が見つかった。
この巻では彼ら4人の結婚式を描いた前中後編「祝宴」を一挙に収録!
ドタバタにぎやかで、楽しくて、笑顔と涙に満ちた結婚式へようこそ。
番外篇としてFellows!(Q)に収録されたショート短篇「岩山の女王」を併録。
感想--------------------------------------------------
「乙嫁語」の最新巻です。前巻から登場したライラとレイリの双子の結婚式が始まります。
サーミとサームの兄弟と結婚することになったライラとレイリ。二人の結婚式が始まる—。
相変わらずこの作品は絵の一枚一枚がとても美しく感じられます。本巻のメインは双子の結婚なのですが、その後に続く「日暮歌」で語られるアミルとカルルクの生活を描いた作品で特にそれを感じさせます。
この作品の感想を書くたびに書いていますし、何回書いても書き足りないのですが、十九世紀の中央アジアという世界とその文化を本当に丁寧にこの著者は描いています。建築、衣類、食べ物、習慣といったものが本当に見てきたかのように見事に描かれていて感動さえ覚えます。特に本巻では結婚式が描かれているのでその豪華さが際立ちます。本作を読んでいるといつも、「この作品の全てのページに色がついたら、とても美しいだろうなあ」、って思います。(描く方はめちゃくちゃ大変だと思いますが…。)
本巻の後半から再びアミルとカルルクの話に戻りますが、こちらの話は双子の結婚式の話と対照的です。双子の結婚式が賑やかで華々しくて楽しいのに対し、アミルとカルルクの話はどこか静けさを感じせます。特にアミルが平原で狩をするシーン。ここは激しい動の場面なのに、何故か静けさを感じさせます。それはおそらく、この狩が何回も繰り返されてきた日常の一こまを切り取ったものであることや、狩る者と狩られる者に余計な言葉の入り込む余地がないこと、さらにこの狩り自体がどこまでも広く続く中央アジアの蒼い空の下で行なわれていることなどが理由かと感じました。特にアミルが弓を片手に平原を馬に乗って駆ける見開きの絵。これは私は本巻の中で特に気に入った一こまです。
「エマ
あと、本巻では結構、残酷な場面も出てきます。結婚式の引き出物となる羊の解体とか、鷹の話とか。でもこういうところも含めてしっかりうやむやにせずに描く姿勢は凄いなあ、とも感じました。
この先、物語は再びアミルやカルルクの話に戻るようです。また争いの臭いも感じさせますね…。次巻も楽しみです。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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