読書日記389:エッジ by鈴木光司




タイトル:エッジ
作者:鈴木光司
出版元:角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人が消えてゆくー長野、新潟、カリフォルニアで、人々が突如“消失”する怪現象が起こった。そんな中、フリーライターの栗山冴子は、ある一家が忽然と姿を消した“一家失踪事件”の謎を追い始める。18年前に父が、やはり消失ともいえる突然の失踪で行方不明となっている冴子は、一連の事件の中に、人類が経験したことのない未曾有の世界的異変を嗅ぎとるが…!?世界の基盤を揺るがす恐怖を描く、サスペンス・ホラーの傑作。



感想--------------------------------------------------
鈴木光司さんといえば、「リング」「らせん」などで有名なホラー作家です。「リング」、「らせん」、「ループ」、「バースデイ」、「仄暗い水の底から」などを読んだことがありますが、読むものを少しずつ追い込んでいくような恐怖の描き方が素晴らしいという印象を受けました。本作、「エッジ」はその鈴木光司さんの作品ということで楽しみに読んでみました。

フリーライターの冴子は十八年前に父を謎の失踪で唐突に失い、いまだにその心の傷を癒せないでいた。そしてそんな冴子のもとに、一家四人が忽然と消えたとしか思えない事件の取材依頼が飛び込んでくる—。

本作を読んでの印象ですが、本作はホラーというよりも科学サスペンスという印象の本ですね。冒頭のアメリカでの人間の消失、さらにπの数値に変化が現れたという点を読むだけでも、ホラーというよりは人間の常識を逸脱した超自然的な現象を予感させます。そしてその通りに物語りは進んでいきます。

一方で物語の描き方は、やはり「リング」や「らせん」の鈴木光司さんらしく、ホラーテイストに満ちていて、不可解な謎とそこに起因する恐怖の描き方が深くてとてもうまいです。徐々に徐々にと恐怖に追い詰められていく登場人物の姿の描き方を見ていると、やはりホラー作家の第一人者だなあ、って感じます。

後半にかけて、物語は怒涛の展開を見せます。凄まじいスケールで描かれる物語とその終末は予想を超えていますね。よくこれだけの規模に物語を仕上げたなあ、って思います。

難点を挙げるとすると、「ホラー」と「科学」の融合にやや難があるかなあ、って感じました。ほとんど対極に位置するようなこの二つの言葉を融合させ、科学に起因する「恐怖」っていうのを描こうとしていて、そこが理系の自分からすると、原因が論理的な科学なのに、そこから得体の知れない恐怖が生まれてくる、っていうのに少し違和感があります。恐怖の原因が「得体の知れないもの」ではなく、「科学的に説明される何か」とわかっているからなのでしょうね。

あとは物語の後半、ほぼ終わりの方になると、矛盾している箇所が多い気がします。いろいろと驚愕の事実が明かされていくのですが、それがどうも腑に落ちにくいです。まあ、もう後半なので勢いで全部読めてしまいますし、勢いで読ませるだけの文章力もあるのであまり気にはならないのですが。ただ、物語の冒頭部分と大きく異なってくるため、違和感は拭いきれません。

しかし、物語の結末が凄いですね。こんな形で結末が訪れる物語って、他にないのではないでしょうか。この結末だけでも一読の価値のある本だと思いました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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