コミック日記89:銀の匙4 by荒川弘



タイトル:銀の匙 Silver Spoon 4
作者:荒川弘
出版元:小学館
その他:

あらすじ----------------------------------------------
マンガ大賞2012大賞受賞作 最新巻!!

命をいただく。そんな大仰なことじゃない。
でも、とっても大切なこと。豚舎で可愛がっていた豚の豚丼が肉になって帰ってきた。そして八軒は、学ぶ。命の重さを。その手で、その目で、その胃袋で…
そして季節はめぐる。夏から秋へ…
マンガ大賞2012大賞受賞作!1巻~3で累計280万部突破の大ヒット酪農青春グラフィティ最新巻!

心にしみる美味しさ。

心に残る命の重さ。


感想--------------------------------------------------
マンガ大賞受賞作「銀の匙」の四巻です。季節は夏を過ぎ、秋に移ります。北海道の大自然の中、酪農高校である蝦夷農(エゾノー)で暮らす八軒たちの身の回りにも少しずつ変化が起きていきます。

自分が世話をして育てあげてきた豚、「豚丼」がとうとう肉になった。夏休みのバイト代でその肉を買い取った八軒は—。

自分が世話をしてきた豚、「豚丼」。本巻の最初では精肉となった豚丼を受け取る場面から物語が始まります。畜産の世界では当たり前ですが、自分が一生懸命に世話をし、育ててきた生き物が肉となって現れるのには誰しも感慨を覚えるのではないでしょうか。こういった場面は、命とは?食べるとは?といった具合に深く重く描くこともできると思うのですが、本作では大事なメッセージは残しつつもあっさりと描いています。この描き方が本作の特徴であり、またマンガ大賞に選ばれた所以でもあるのでしょうね。


「生き物を食うってこんなもんだよね」って割り切って達観しちゃえば楽だけど、俺は、それは、やっぱ嫌です!


本巻の中で最も印象に残った言葉です。真っ直ぐな八軒らしい言葉ですね。悩み続けることよりも割り切ることの方がよほど楽なのに、その楽な方向に走らず、常に悩み続けることを選ぶ八軒。仕事でも趣味でも人間関係でも、何でもそうですが、慣れ親しんで割り切って考えられるようになると物事への取り組みはどんどんと楽になっていきます。しかし一方で悩み続けることを放棄すると、成長もそこで止まるような気がします。何かを生み出し前に進むためには、正しい方向に悩み続けなければならない気がします。

今回のこの台詞に限らず、本作の作者は主人公である八軒の姿を通してその姿勢を常に読者に示し続けていますね。そしてたとえ遠回りのように見えても悩み続けて、人の申し出を断らない人のいい八軒の周りにはいい仲間が集まり、自然と八軒をフォローしていきます。前も書きましたがこの八軒と仲間の描き方は実にいいですね。集団生活の理想であり、ともすると悩むことを恐れて安易に結論を導きがちな人たちにも勇気を与えます。「悩むことは悪いことではない」と。「他人を受け入れれば自分も受け入れてもらえる」と。こうした点は都会に住む現代人が不安に思うところなのかもしれません。しかし本作を読むと良く分かるのですが酪農や畜産は決して一人では成り立たず、何人もの人々の協力が必要不可欠です。そういった意味でも、都心で孤独に暮らす若者とこの物語で描かれている八軒立ちの姿は対照的でもありますね。

さて、物語は秋に移り、八軒と、八軒が密かに思いを寄せる御影、駒場の関係にも変化がありそうですね。訳ありな風の八軒の家族の話の展開も楽しみです。次巻は10月発売の予定だそうですね。今から待ち遠しい限りです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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銀の匙 Silver Spoon 4巻
Excerpt: 銀の匙 Silver Spoon 4巻 JUGEMテーマ:漫画/アニメ
Weblog: Happy☆Lucky
Tracked: 2012-07-21 17:59