読書日記330:シンメトリー by誉田哲也
タイトル:シンメトリー
作者:誉田 哲也
出版元:光文社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
百人を超える死者を出した列車事故。原因は、踏切内に進入した飲酒運転の車だった。危険運転致死傷罪はまだなく、運転していた男の刑期はたったの五年。目の前で死んでいった顔見知りの女子高生、失った自分の右腕。元駅員は復讐を心に誓うが…(表題作)。ほか、警視庁捜査一課刑事・姫川玲子の魅力が横溢する七編を収録。警察小説No.1ヒットシリーズ第三弾。
感想--------------------------------------------------
「ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」、「インビジブルレイン」など通称「姫川シリーズ」の作品です。本書はそのまま現在放映中の連続ドラマのタイトルにもなっていますね。主人公の女刑事:姫川玲子を演じるのは竹内結子さん。周りを固める姫川班の面々も菊田を演じる西嶋英俊さんはじめ、豪華な役者さんが揃っていますね。
本書は姫川シリーズ第三作目にして初の短編集です。(「インビジブルレイン」は本作の後の作品ですね。)「東京」、「過ぎた正義」、「右では殴らない」、「シンメトリー」、「左だけ見た場合」、「悪しき実」、「手紙」の全七編から構成されており、一冊でこれだけ姫川班の活躍を読むことができる豪華な作品となっています。
本作は今までの作品「ストロベリーナイト」や「ソウルケイジ」と異なり、衝撃的な残酷描写は少なく、一つ一つのストーリーを丁寧に描いているな、と感じました。どの短編も主人公の姫川と登場人物の心の交流をとても丁寧にしっかりと描かれていますね。特に個人的には「過ぎた正義」や「シンメトリー」は印象に残りました。「過ぎた正義」に登場する元警察官 倉田修二は姫川シリーズの最新作「感染遊戯」にも登場しているようです。こちらはまだ読んでいませんが、いずれ読んでみたいと思っています。
このシリーズの面白さは何か、といわれると、後書きにも書かれていますが、まずは圧倒的なリーダビリティが挙げられると思います。文章もそうですが、なにより姫川班の面々が非常にテンポ良く動くため、途中で息をつく暇なく、最後まで読むことができます。
さらに、それに加えて登場人物の心理描写のうまさが光りますね。本作もそうですが、私的にはこの点では「ソウルケイジ」がピカ一でした。犯人の心理描写が凄く光ります。
姫川班の面々もだいぶ物語にフィットしてきている気がします。姫川、菊田、湯川、葉山、石倉、今泉、国奥先生も含めて大分個性が定着してきているように感じられます。
個性が生き、各キャラクターがテンポ良く動くため、読みやすいんですね。
本作は特に姫川の過去の話が多いですね。若き日の姫川の話が読みたい人は必見です。合わせて現在放映中のドラマも見るとさらに一層楽しむことができるかと思います。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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