タイトル:恋物語
作者:西尾維新
出版元:講談社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
阿良々木暦を守るため、神様と自分の命を取引した少女・戦場ヶ原ひたぎ。約束の“命日”が迫る冬休み、彼女が選んだのは、真っ黒で、最悪の手段だった……。<物語>はその重圧に軋み、捩れ、悲鳴を上げる
感想--------------------------------------------------
西尾維新さんの物語シリーズの最新作です。本作でセカンドシーズンも最後を迎えることになりましたね。あっという間でした。
蛇神と化した千石撫子に死刑宣告を受けた阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎ。千石撫子を止めるべく、戦場ヶ原ひたぎは自分の家を滅茶苦茶にした憎き仇、詐欺師:貝木泥舟に千石撫子を騙すように依頼する—。
相変わらず、いい意味で期待を裏切る作品ですね。本作の語り手は「ひたぎエンド」のタイトルどおりの戦場ヶ原ひたぎではなく、主人公である阿良々木暦でもなく、なんと詐欺師の貝木泥舟でした。主要キャラでもなく、むしろ完全なる悪役である貝木泥舟を物語の中心においてストーリーを展開させるあたり、最初は大丈夫かな?と思ったりもしましたが、読み進めて行くうちに、この物語展開では語り手はこの人しかいないよな、って思えるようになってきます。
戦場ヶ原ひたぎ、阿良々木暦、羽川翼、斧乃木余接、そして千石撫子と、出演キャラクターも多いですね。総出演とまではいかないですが。本作は語り部が貝木泥舟だからということもありますが、物語はわりとシリアスに進んでいきます。戦場ヶ原ひたぎの依頼を受け、千石撫子の素性を調べあげていく貝木泥舟。相変わらず登場人物同士の掛け合いで物語が構成されていくのですが、その掛け合いはいつになくシリアスな気がして、物語シリーズの当初とは大分変わったな、という印象も受けます。
斧乃木余接、影縫余弦、臥煙伊豆湖、忍野扇と、ここまで読んでくると、当初に比べてキャラクターが増えたなあ、って感じます。しかし物語の初期から出ている登場人物たちの個性が余りにも強烈過ぎるため、まだまだ彼らの影は薄いですね。ファイナルシーズンでどこまで彼らが表に出てきて活躍できるか、が見ものです。
物語は、予定調和、というわけではないですが、一応はいい方向に解決して終わりを迎えます。しかし第三者である貝木の視点からの語りなので、いまいち実感が湧かないところがありますね。また最後の終わり方は、まあ貝木が語り手、っていう時点でおそらくこういう結末を迎えるだろうなあ、という予想はつきましたね。この先がどうなるかはとても楽しみですが。あと、本作もそうですが、恋物語とか、「ひたぎエンド」というタイトルとかは、ほとんど意味を持たないですね。あまりタイトルとは関係なく、話は進んで行きます。
セカンドシーズンが終わり、ファイナルシーズンは「憑物語(よつぎドール)」「終物語(おうぎダーク)」「続終物語(こよみブック)」の三作だそうです。個人的にはどうも胡散臭くて全ての黒幕っぽい忍野扇がとても気になりますが…。来年も楽しみです。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
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