読書日記307:残念な人の仕事の習慣 by山崎将志



タイトル:残念な人の仕事の習慣
作者:山崎将志
出版元:アスコム
その他:

あらすじ----------------------------------------------
会社の近くに小さな印刷所がある。毎日、女性が山積みの紙の束を台車で運ぶのだが、ブロックの継ぎ目があるためガタガタ揺れる。彼女は、束が落ちないように押さえ、直し、また運び始める。工夫を重ねた相当な熟練だ。しかし、このスキルは本当に必要だろうか。横に枠の付いた台車に変更すれば問題はすぐ解決する。では、なぜ彼女は、会社は改善しないのか…。本書では、仕事の現場で放置してしまっている「非効率な努力」の原因と解決のヒントをお話ししていきたい


感想--------------------------------------------------
時たま本屋のビジネス書コーナーで見かける本です。「残念な人」というキャッチフレーズに惹かれて買ってみました。本書は「残念な人の思考法」の続編ですね。

本書は「ビジネス編」、「コミュニケーション編」、「時間の使い方編」などというように各章を分け、章毎に残念な人の仕事の仕方、こうすればもっとうまく行くのに、という改善内容を述べています。その話題は著者が良く利用する書店や、タクシー、餃子の王将といった店舗のサービスから仕事の受け答えまで実に幅広く網羅されています。

「残念な人には”たとえば”がない」、「ダメ上司ほど帰り際の部下を呼び止める」など思わず頷いてしまうものも多く、なるほどと思わせる部分は多々ありますね。ほんのちょっとした一工夫、ちょっとした発想の転換で効率が上がる、単純作業が楽しい作業に変わる、という点は読んでいて面白く感じられました。

しかし一方で、どうにも掴みづらい本だ、という印象も受けました。章が複数に分かれているのに、各章で語られている内容は著者の経験がひたすらとりとめもなく述べられていくばかりなので、章毎のまとまりがなく感じられました。「結局、この章では何が言いたいんだ?」と思わせる部分も多くありましたね。読み物を意識して書かれているとは思うのですが、章毎の要旨が不明瞭なので何が言いたいのかよくわからない部分もありました。

あとはやはり良くも悪くも主観的な目線でのみ物事を語っている、という点が気になりました。著者の主観で物事を語っており客観的目線が抜けているため、著者に同調出来る人はいいのですが、そうでない人はいまいち納得感を持てないのではないかと思います。たとえば「著者はお金を使う」ということにわりと肯定的な独特の価値観を持っていますが、これに同調できない人もいるのでは?と感じたりもしました。著者の経験談→汎用的な原理・原則へ帰結→他の例へ応用、としてあげれば読みやすかったのにな、と思います。著者の経験談で止まっているため、ビジネス書というよりは経験談、エッセイ集みたいな印象です。

読んでいくと、「あ、この話聞いたことあるな」という話もいくつかありましたね。ここで紹介した「人を動かす」や「ブルーオーシャン戦略」などもきっと既にこの著者は読まれているのでしょうね。「残念な人」というキャッチに惹かれて買いましたが、ビジネス書というよりは経験談に近い話だと感じました。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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