読書日記301:琅邪の鬼 by丸山天寿




タイトル:琅邪の鬼
作者:丸山天寿
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
始皇帝時代の中国、商家の家宝盗難をきっかけに、港町・琅邪で奇妙な事件が続発する!「甦って走る死体」、「美少女の怪死」、「連続する不可解な自死」、「一夜にして消失する屋敷」、「棺の中で成長する美女」ー琅邪に跳梁する正体不明の鬼たち!治安を取り戻すべく、伝説の方士・徐福の弟子たちが、医術、易占、剣術、推理…各々の能力を駆使して真相に迫る。多彩な登場人物、手に汗握る攻防、緻密な謎解き、そして情報力!面白さ極めた、圧倒的興奮の痛快歴史ミステリー!第44回メフィスト賞受賞作。



感想--------------------------------------------------
講談社の雑誌「メフィスト」主催の「メフィスト賞」の受賞作品です。持ち込みを制度化したような賞で、「下読みは一切無しで編集者が直接必ず読む」、「面白ければ何でもあり」というのがうたい文句になっている賞です。「すベてがFになる」を始め多くのヒット作を生み出している森博嗣さんや「クビキリサイクル」の西尾維新さん、「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」はじめ直木賞候補作を連発している辻村深月さんなどが歴代の受賞作家ですね。

神仙たちの住む島が時折り沖合に現れる港町、琅邪。求盗(警官)である希仁は多くの不可思議な事件に巻き込まれて行く。そんな希仁は徐福塾の異能の人々と問題の解決に取り組んで行くー。

舞台は秦の時代の中国ということですが、その時代の雰囲気はたっぷりと味わえる作品です。著者が非常に詳しいのでしょうね。その時代の文化や歴史に関する知識が深く、描き方も抜群です。いい味を出しています。

物語は求盗である希仁を一応の物語の中心に据えながら、巫医である残虎や、桃といった面々の力を借りながら問題を解決しようとするけれどうまくいかず、最後に現れる探偵役の無心という人物が全ての謎を明らかにする、という話です。アクションシーンも一部あり、時代を背景とした様々な人物(秦の始皇帝とか)も出て来たりとか、そう言う面は面白かったです。

物語はというと、多くの人物が現れるのですが、その誰もが描き方が浅い気がしました。「人」があまり生きてはおらず、その役目を果たすために作者によって配置された「駒」という感覚が最後まで抜けきりません。個性はそれぞれあるのですが、感情があまり感じられず、感情移入できそうな人物は見当たりません。また物語自体も一応はミステリ仕立てになっているのですが、無理にミステリにした観もあります。この時代の中国についてこれだけ書けるのであれば、いっそのことミステリにこだわらない方がよい気もします。

・・・ここら辺が微妙ですね。「面白ければ何でもあり」でありながらやはりミステリ仕立てでないとダメな賞なのですかね・・・?幅広く、ミステリにこだわらずに面白い作品を世に出してくれる賞であってほしいな、と感じた本でした。

また本作で荊軻という人物が過去の人物として出てきます。映画「HERO」のモデルともなったあの荊軻か、と思わず膝をうちました。著者の中国に関する知識は半端ではないようです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


↓よかったらクリックにご協力お願いします
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
レビュープラス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/227964657

この記事へのトラックバック

【ミステリ】琅邪の鬼
Excerpt: 琅邪の鬼 丸山天寿 講談社ノベルス 琅邪の鬼 (講談社ノベルス)(2010/06/08)丸山 天寿商品詳細を見る 「私は墨者です」残虎は繰り返した。 「私は人の生命を救う巫医です。戦に加わり..
Weblog: The World Is Made Out Of Entertainment
Tracked: 2011-09-29 00:07

琅邪の鬼
Excerpt: 琅邪の鬼  丸山天寿  講談社ノベルス 始皇帝時代の中国、商家の家宝盗難をきっかけに、港町・琅邪で奇妙な事件が続発する。 琅邪に跳梁する正体不明の鬼たち! 治安を取り戻すべく、伝説の方士・徐福の弟子..
Weblog: りんの活字中毒な日常--ミステリー、ファンタジー小説が私の生きがい---
Tracked: 2011-10-02 09:16