読書日記296:夜の桃 by石田衣良



タイトル:夜の桃
作者:石田衣良
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
これほどの快楽は、きっとどこか真っ暗な場所に通じているー。成功した仕事、洒落た生活、美しい妻と魅力的な愛人。全ては玩具にすぎなかった。安逸な日々を謳歌していた雅人が出会った少女のような女。いちずに自分を求めてくる彼女の、秘密の過去を知った時、雅人はすでに底知れぬ恋に陥っていた。禁断の関係ゆえに深まる性愛を究極まで描き切った、瑞々しくも濃密な恋愛小説。


感想--------------------------------------------------
石田衣良さんの作品です。久しぶりに読みました。

会社経営者である雅人は妻、愛人と満ち足りた私生活を満喫していた。そこに派遣社員として千映という、自分より二十歳も若い女性が現れる—

正直、私にとって本作はいまいちでした。
雅人が三人の女性の間を行ったり来たりしながら自分の今の立場や、生きることの意味みたいなものについて、考えたりしていくのですが……。正直駄目です。無駄に性描写が多すぎます。官能小説並みです。こんなになくてもいいから、もう少し一人一人の女性の個性とか、他の側面とかをもっと掘り下げて欲しいと思いました。その方がよほど三人の女性に対する雅人の考えとか、三人の違いとかがわかったような気がします。

文章はさすがにうまいので読むことはできるのですが、いかんせん、同じような展開が繰り返されていくだけで、どうにも物語にのめりこむことはできません。だいたい、こんなに簡単に愛人関係になってしまうものなのか?とか、なんで女達は主人公のことを好きになっていくんだ?とか、そういう過程がよくわからず、しかも主人公は会社経営者で物凄いお金持ち、という設定なので、現実感が全く湧きません。東京を舞台としているのに、なんというか、どこか他の世界の話?と感じてしまいます。まあ、これも私がこういう世界を知らないだけかもしれませんが…。

物語の結末の迎え方は、ありきたりと言えばありきたりですが、良かったと思います。
この方の作品はIWGPシリーズはいいのですが、他の作品では時々こういう性描写がきつい作品があって、それがいまいちに感じてしまいます。IWGPシリーズ中心に読もうかなあ、って思いました。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):C


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