読書日記278:地震イツモノート



タイトル:地震イツモノート
作者:地震イツモプロジェクト
出版元:ポプラ社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
地震が起きる可能性は、モシモではなく、イツモある。だから、特別なことをするのではなく、イツモの生活のなかで地震に備えていたい。阪神・淡路大震災の経験を経て明らかになった、本当に備えておくべきこととは?体験者の知恵と工夫を集めた、新しい防災マニュアル。基本備品一覧なども収録。


感想--------------------------------------------------
いま、多くの本屋さんでレジの脇に山積みになっている本です。地震が起きる可能性はイツモある。そのための地震イツモノートです。本作は阪神大震災を契機に作られた本ですが、先日の東日本大震災の後、また売れ出しているようですね。

本作の最も特徴的なところは、阪神大震災の被災者の生の声を元にして作られているというところです。「地震発生直後、どう感じたのか」「避難所生活で困ったことは何か」「どのような対策をしておけばよかったか」「何が役に立ったか」こういったことが被災者の視点から語られていきます。そこにあるのは教科書的な回答ではなく被災者の生の声ですので、「あ、こんなことで困るのか」とか、「こんなものが役に立つのか」とか、目から鱗が落ちるような発見も多々あります。

また本作では、JTの広告でお馴染みの寄藤文平さんの絵とともに語られて行くため、恐ろしい地震の話なのにどこかユーモラスな語り口で語られています。従って、気がつくと最後まで読んでいるんですね。教科書的な「防災マニュアル」というのは世の中にいくつもありますが、それらを読み込んでいくのは相当にたいへんだと思います。しかし本書は本当に簡単に読むことができるため、その名前の通り、「イツモ」携帯しておくことさえできます。きっと本当に震災が起きた時に役立つのはこのような現場視点で語られて、持ち運びもしやすい本書のような本なのでしょうね。

「地震が起きる可能性。それは「もしも」ではなく、「いつも」あるのです。」
本書を読んでいて最も印象に残ったのはタイトルにもなっている上記の言葉です。
「いつかくる恐ろしいもの」という態度を「いつも私たちの身の回りにあるもの」と態度を変えるだけでもだいぶ地震への心づもりが変わってくるかと思います。持病とおなじように地震と上手に付き合う。こんな発想ができるのは地震大国である日本人だけかもしれませんね。でも大切なことだと感じました。

東日本大震災の余波がまだ続いていますが、この先、東海沖や関東でもいつ地震が起きるかわかりません。こんなときだからこそ、読むべき本だと感じました。文庫形式ですし、絵が主体なのですぐ読めます。一家に一冊。お勧めです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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「地震イツモノート キモチの防災マニュアル」
Excerpt: 「地震イツモノート」は阪神淡路大震災を経験した方たちからの意見や体験談を「ウンコロロ」などユニークなイラストで有名な寄藤文平さんが絵を担当し、地震を「イツモ」供える心持ちと知恵のつまった本です。 ..
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Tracked: 2011-06-10 00:11