読書日記268花物語 by西尾維新
タイトル:花物語
作者:西尾維新
出版元:講談社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
“薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ”阿良々木暦の卒業後、高校三年生に進級した神原駿河。直江津高校にひとり残された彼女の耳に届いたのは、“願いを必ず叶えてくれる『悪魔様』”の噂だった…。“物語”は、少しずつ深みへと堕ちていくー。
感想--------------------------------------------------
三ヶ月に一作のペースで刊行される西尾維新さんの「物語」シリーズの最新刊です。近くの本屋では東野圭吾さんの「麒麟の翼」を押さえて売り上げ一位になっていました……。恐るべし、西尾維新、です。
直江津高校に通う神原駿河は、どんな願いも叶えてくれる「悪魔様」の噂を耳にする—。
本作に収録されているのは「するがデビル」。元バスケ部エースにして左手に悪魔を宿す神原駿河が主人公の作品です。本作はまたまた予想を裏切り神原駿河が語り手として紡がれる物語になります。私の中で、神原駿河は本シリーズの中で最もぶっ飛んだ性格のキャラクターなのですが、まさか彼女が語り部になれるとは思っていませんでした。羽川翼が語り部を務めた「猫物語(白)」と同じような展開で、こんなにこいつはまともなキャラだったか?と少しびっくりしました。物語が普通です。
相変わらず本シリーズならでは、西尾維新作品ならではの作品です。独特の会話、言葉、文章。いいです。これが作品の根幹にあり、物語を作っていますね。本作ではメジャーキャラクターは主人公の神原駿河以外はあまり出てこないです。脇役&悪役っぽかった貝木泥舟なんかがちょっといい役で出ていたりします。びっくりです。
本作、読み進んでいくとわかるのですが、極めてまっとうな青春小説になっています。神原駿河がライバルとの対決を超えて、色々なものを乗り越え、失い、そして得ていく。神原駿河の成長が描かれた小説というべきかもしれません。これまたびっくりです。猫物語(白)でもそうでしたが、読み終わって、あれ?こんなにこのシリーズってまともだったっけ?っという感じですね。
特に猫物語(白)からの後期ステージに入ってから感じることですが、これまで本シリーズにあったぶっとんだ印象がだいぶ消えています。前期ステージの作品では登場人物のぶっとんだ性格が売りだった部分もあるのですが、だいぶ陰が薄くなった気がします。物足りなさを感じる人も多いのかもしれませんが、これはこれで面白いです。
さて、次作は「囮物語:なでこメデューサ」。また三ヵ月後が楽しみです。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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