読書日記257:灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパーク〈6〉 by石田衣良



タイトル:灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパーク〈6〉
作者:石田衣良
出版元:
その他:

あらすじ----------------------------------------------
池袋は安全で清潔なネバーランドってわけじゃない。盗撮画像を売りさばく小学5年生が、マコトにSOSを発してきた。“まだ人を殺してない人殺し”マッドドッグ相手にマコトの打つ手は?街のトラブルシューターの面目躍如たる表題作など4篇を収録したIWGPシリーズ第6弾


感想--------------------------------------------------
石田衣良さんの作品です。やはり石田衣良さんの作品はこのIWGPシリーズが最も安定して面白いですね。IWGPシリーズは最新作として第十作目の「PRIDE」が出ています。本作は第六作目にあたりますね。第七作目の「Gボーイズ冬戦争」を既に読んでしまいましたが、後から読んでも十分面白いです。

本作には「灰色のピーターパン」、「野獣とリユニオン」、「駅前無認可ガーデン」、「池袋フェニックス計画」の四編が収録されています。特に面白かったのは「池袋フェニックス計画」でしょうか。池袋を浄化するために本腰を入れてきた警察の特別部隊とマコトたちの戦いの様子が描かれているのですが、サル、タカシ、ゼロワンといった主だったメンバーが登場しボリュームも大きく読み応えのある作品となっていました。

本シリーズ全般に言えることですが、生きていく上での真理に近い核心的なことをマコトがさらっと言葉にしていきます。これがとても私は好きです。池袋を拠点とするトラブルシューターとしての身上の軽さが反映されているのでしょうが、ともすると重くなりがちな本質的なことを軽い言葉として読み手に伝えていくこの腕前はさすが石田衣良さんだと思いました。

また、以前にも書きましたが各話の導入部分がとてもうまいですね。「他人の欲望が見えたら、どんなに楽だろうと思わないか?」これは「駅前無認可ガーデン」の冒頭ですが、こんな文で始まる物語であれば、続きを読みたくなりますよね。マコトが発する疑問形の一文から始まり、一般論的な話を展開し、最後に本題のストーリーへと結び付けていく。この冒頭の展開がその後のストーリー展開をとても引き立てていると感じます。

そして最後に、これは言わずもがなですが主人公マコトを始めとする各キャラクターの個性ですね。特にマコトはいい味を出しています。普段はクラシックを聞きながら八百屋の店番をする青年なのに、人から頼まれれば嫌とは言えず、美女にはめっぽう弱く、ヤクザやGボーイズ、警察にも顔が利く。そしていつも事件は無事解決。…長屋のご隠居みたいな人ですね。パターンは決まっているのに池袋という土地柄と世相を反映して持ち込まれる事件はいつも異なるため、新しい作品が出るたびに読みたくなりますね。マコトは困るかもしれませんが、これからも石田衣良さんにはぜひ本シリーズを続けていただきたいです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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