映画(DVD)日記35:インセプション



タイトル:インセプション
監督:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙
その他:

あらすじ----------------------------------------------
クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙の共演で贈るSFアクション。コブは他人の潜在意識に侵入し、アイデアを盗み出すトップスペシャリスト。そんな彼のチームに、ある人物から特別なミッションが下る。


感想--------------------------------------------------
クリストファー・ノーラン監督と言えば「バットマン ビギンズ」や「ダークナイト」で従来のバットマンシリーズとは異なる独特の世界観でバットマンを描き、高い評価を得た監督です。そのクリストファー・ノーラン監督がレオナルド・ディカプリオを主演に据えて作成したのが本作「インセプション」です。「インセプション」とは本作中では「植え付け」という意味で使われていますね。ストーリー自体も非常に独特な作品です。

標的の「夢」の中に入り込み頭の中の機密情報を盗み出すことを職業とするコブ(ディカプリオ)はある大企業の二代目社長の夢に、記憶の「植え付け(インセプション)」を行なうことを依頼される—。

本作、非常に複雑なストーリー、設定の作品です。まず「夢の中に忍び込みアイデアを盗み出す」という設定自体がとても斬新ですね。脳内の世界で活躍するストーリーといえばすぐに「マトリックス」を思い出しますが確かに不思議な世界観は共通する部分があります。一方でこの物語に深みを与えて、複雑にしているのは、「夢の中で夢を見る」という設定です。より深層の潜在意識の中に潜る為に夢の中のさらに夢の世界へと潜り込んでいくコブたち。夢の中の夢の中の夢、と深く深く潜るに連れて時間の進み方も緩やかになり、様々な姿で世界が姿を現します。そしてこのどこか脆く現実と似て非なるものである夢の世界の描き方が、本作では抜群にうまいです。

本作の見所はこの夢の世界の描き方ともう一つ、コブとその妻モルの愛憎の描き方です。夢の中で随所に現れてコブを翻弄する妻、モル。モルの正体やコブとモルの過去が物語が進むに連れて徐々に明らかになっていきます。この徐々に徐々にと色々なことを明らかにしていく描き方もうまいなあと思います。夢と現実、次第にその境が分からなくなってくる本作の恐ろしいところでもあります。

物語が進むに連れて、物語の全てがある一点に集約されていきます。柵を越えて川に落下する自動車、爆破されたエレベーター、爆破されて崩壊する要塞、それぞれが深層心理の一面を描いており、それが全て一点に集約されて本作のクライマックスを迎えます。このクライマックスへ向けて物語を盛り上げていく描き方も実にうまいです。重厚なストーリーと設定の作品化と思いきや、いつの間にかクライマックスへ向けての緊迫感抜群のアクションとなっています。本作では全体を通してCGやスローモーション画像を用いて夢の世界を幻想的な作品に仕上げており、激しいアクションが繰り広げられる一方で確かに夢の中を思わせるような幻想的な仕上がりにもなっています。この世界の描き方やストーリー、脚本の組み立て方などは実にこの監督らしいと思いました。

本作の中でキーアイテムとして小さなコマが現れます。非常に重要な役割を果たすアイテムなのですが、本作の最後の最後でそのコマが見るものにある疑念を抱かせながら物語を終えていきます。これは何を意味するのでしょうね…。設定やストーリーは難しく理解し難い場面も多い映画ですが、見終わった後まで余韻に浸れる映画だと思いました。また俳優の渡辺謙さんも重要な役割で本作に登場しています。「バットマン・ビギンズ」にも出てましたし、ノーラン監督に気に入られたのでしょうね。更なる御活躍も期待しています。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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