読書日記224:広告新時代 ネット×広告の素敵な関係
タイトル:広告新時代 ネット×広告の素敵な関係
著者:植村祐嗣、小野裕三、日高靖、新谷哲也、杉浦友彦、岩田正樹
出版元:朝日新聞出版
その他:
あらすじ----------------------------------------------
電通のネット広告の最前線で活躍するプロ6人が、実戦に活かせる事例と視点を紹介するネット広告成功の手引書。ネット広告の歴史とさまざまな技術の変遷、実践的なサイトの構築と集客のノウハウ、陥りやすい間違い、新聞やテレビ広告との使い分けなどを包括的に論じる。すべての広告関係者のために。
感想--------------------------------------------------
本書は電通の人が書いた広告に関する本になります。広告とは言っても、単純な広告ではなく、いま全盛のネット広告を中心に書いた本になります。全六部から構成され、ネット広告の概要、基本、将来像についてそれぞれ異なる人が書いています。広告の最前線で仕事をする人たちの書いた本だけあって、迫力がありますね。
私が本書で特に面白かったのは、広告の将来について語った第六部、「広告の未来図—「精告」と「共告」」です。「広くにメッセージを告げる」ものであった広告は、時の流れと共に一人一人のニーズに対して「精密にメッセージを告げる」ものや、共通の趣味や嗜好を持つコミュニティに対して告げる、「共有されるためにメッセージを告げる」ものに変化しているそうです。
現在は検索エンジンによる検索結果の中から人が自分の手で適切な情報を抜き出すことが必要ですが、検索エンジンの強化、パソコンやモバイルから家電にまでネットにつながる機器が増えることによる個人の嗜好や行動パターンを認識する情報の増加により、さらに精密にその人のニーズに合ったメッセージを提供することができるようになるのが精告、mixiなどのSNS内のコミュニティのような共通の趣味・嗜好を持つ人たちに対してメッセージを提供することが共告だそうです。将来、広告はこの精告と共告に分かれていくようですね。私自身も、自分の嗜好にあった広告を提供してくれる精告には確かに魅力を感じます。
一方で、本書の中にもところどころでてきますが、広告では、「セレンディピティ性」というものも重視するそうですね。「セレンディピティ性」とは「偶然に自分にとって有意義な情報に出会うこと」だそうです。メルマガや、yahooなどのポータルサイトで自分が意図していなかった面白い情報に出会うことなども「セレンディピティ性」の一つと言えるでしょうか。精告が進めば進むほどこの「セレンディピティ性」が失われていくため、情報に広がりが欠如してしまい、そこは一つの課題のようです。
ただ、この「精告」と「共告」という考え方は今後もどんどん進んでいくでしょうね。iPhoneやiPadのようなモバイル端末の進化と共に、今後の広告がどう変化していくのか、とても楽しみです。
また、これは先日紹介した「つぶやき進化論」の中でも触れられていましたが、「人の力」というものも今後一つのキーワードになりそうです。mixiやtwitterのように他の人とのネット上でのコミュニケーションが大きな力を持つ時代にもなりそうです。
本書、230ページ程度の本ですが、隅から隅まで全部読むとなるとかなりの時間がかかりますね。斜め読みで自分の好きなところを拾い読みするだけでも十分楽しく、読み物としても、広告業界の人のような専門家でも楽しく読める本だと思います。ところどころに書かれているコラムの欄も、広告業界の第一線で働く専門家の話が載っていますので、臨場感に溢れていますね。
本書は2009年に出版された本ですが、この本の内容でさえ、ところどころ、もう現在では時代遅れになりつつある部分もありそうです。ネットの世界の進歩は本当に速いですね…。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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