2010年07月07日

読書日記215:小説家という職業 by森博嗣



タイトル:小説家という職業
作者:森博嗣
出版元:集英社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
小説家になるためにはどうすれば良いのか?小説家としてデビューするだけでなく、作品を書き続けていくためには、何が必要なのだろうか?プロの作家になるための心得とは?デビュー以来、人気作家として活躍している著者が、小説を書くということ、さらには創作をビジネスとして成立させることについて、自らの体験を踏まえつつ、わかりやすく論じる。


感想--------------------------------------------------
作家の森博嗣さんといえば、「すベてがFになる」でメフィスト賞を受賞してデビューし、ここでも紹介した「スカイ・クロラ」シリーズなどで有名な売れっ子の作家さんです。その森博嗣さんが自身の職業である「小説家」について語った作品が本作です。

本作は小説家にとって必要な技術的なことも書かれていますが、それだけではなく、御自身が小説家になった経緯や現状の出版業界の状況、書籍の電子化が進むであろう将来の出版業界の展望などを独自の切り口で書かれています。

本作で森さんが言われている小説家にとって最も大切なこと、それは「とにかく書くこと」。これに尽きるそうです。小説家は本来自由なものであり、縛りは不要。とにかく書いて書いて書くことが小説家にとって、上達するために最も大事なことだそうです。まあ、これは納得できますね。料理家だろうが医者だろうが、どのような職業でもそのことを徹底的にやることは基本中の基本だと思いますし、上達への近道だと思います。こんなブログでも、定期的に書き続けることで、初期の頃よりは文章がだいぶよくなったかと思います(…そう思っているのは私だけかもしれませんが。)。

私にとって森博嗣さんはとても多作な作家さん、という印象です。本作を読んで驚いたのですが、「一週間で一作」とか、「五ヶ月で五作」とか、とんでもない速度で作品を書かれていますね。この速度でなんであんな素晴らしい本ができるのか、頭の構造が違うのか、ここは最も気になるところではありますが、もちろん答えは書かれていません。しかし一日二時間程度しか書いてないであの分量の作品を出せるのは凄いですね。

本作を読んでいると、森さんは小説を書くようになって経済的には物凄く恵まれるようになったことが分かります。「こんなに儲かっていいのか」って思うほどだとか…。昨今の「1Q84」の大ヒットもありますし、この言葉に誘われて小説家を目指す人も多いかもしれません。(1Q84はたぶん買っただけの人が多いだろうなあ、って思いますが。)ただし、注意点として、「どうしたら森博嗣さんのような売れっ子作家になれるか」とか、「どうやったらあんな作品を書くことができるか」といったことは書かれていません。これは自分で書きながら見つけるしかないのでしょうね。ヒントとしては、「小説家という仕事をビジネスとしてきちんと考える」という点がポイントになるでしょうか。

また電子化に伴い出版業界は縮小すると見られていますが、これはおそらく間違いないでしょう。ただ、創作者である作家は安泰かと言うと、そうでもない気がします。誰でも気軽に作品を発表できるようになる分、読者の眼はよりシビアになるでしょうし、本当に力がないと作家としてやっていけないのではないでしょうか。
また逆に、「本」という形式がなくなることもないでしょう。「本」というスタイルは文章を読むのに最も適したスタイルだと思います。いくらiPadが普及しても、本というスタイルはなくならないでしょうね。

最後になりますが、本作を買おうと思っている方は、まず立ち読みででも「まえがき」を読まれることをお勧めします。前書きを読むと本書の全体像がわかります。よくある「小説の書き方のノウハウ本」とは違うことがわかります。間違っても「小説の書き方のノウハウ本」とは思わないことです。やはり小説家になるには、小説をひたすら書き続けるしかないのでしょうね。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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タグ:森博嗣 書評
posted by taka at 21:17| Comment(0) | TrackBack(2) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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