読書日記176:クーリエ ジャポン 2010年 2月号



タイトル:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 02月号

作者:
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
WHAT'S NEXT?
ツイッター、iPhone、キンドル、そして…
次の、ITライフ。


感想--------------------------------------------------
 レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。レビュープラスを運営する株式会社ニューノーマル様は「住宅街から、世界へ」をモットーにワークメイトやレビュープラスというサービスを展開していらっしゃいます。レビュープラス様から献本いただいたクーリエ ジャポンは今回で三冊目ですね。読むうちにすっかりクーリエ ジャポンのファンになりました。

 さて今月のクーリエ ジャポンの特集は「次の、ITライフ。」です。私もIT業界で仕事をしていますので本号の特集は非常に面白く読むことが出来ました。今や巷ではiPhoneやツィッター、キンドルといった新しいサービスが物凄い速度で生まれては消えて行きます。本号の特集ではそれらのサービスの勃興とこれからの行く末を占っています。ITの話というと、どうしても専門家以外の人にとっては敷居が高く感じてしまいますが、本誌の特集は専門家ではない人にもわかりやすく書かれていて非常に読みやすいと感じました。

 本号の特集の中で私が特に興味を持って読んだのは特集の冒頭で触れられている「AR(拡張現実)」です。眼鏡のような”ゴーグル”越しに見た全ての物に、それに関する情報がタグのように浮かび上がるという物です。日本でも「セカイカメラ」という名前で同様のサービスが始まっていますが、ゴーグルをかけてものを見るだけでその価格やブランド、そういった情報が全て分かるというのは凄いですね。SFのような世界がまさに現実になりつつあります。
 さらに本号の中ではキンドルやツィッター、さらにはマイクロソフト、アップル、グーグルの今後の戦略についても書かれています。個人的には「天才ジョブズなきアップルが世界を変えられるか?」というアップルに関連した記事が興味深かったです。現在のアップルを育て上げたアップルコンピュータCEO:スティーブ・ジョブズ。特に彼のプレゼンテーションのうまさは伝説的ですね。健康不安を抱える彼の引退後、アップルがどうなるのか?今後も尖った製品を生み出すことが出来るのか?それは今のところ誰にも分かりませんが、Mac愛用者の私としてはアップルには今後もがんばってほしいです。

 ・・・今号の特集を読んでいて感じたのですが、日本の話が全く出てこないですね。ITに関しては新しいサービスが生まれるのは必ずアメリカやUKなどです。個人的にはこれがとても残念です。アメリカなどでは面白い企画、顧客への訴求力がある企画はどんどん形になって行きます。「それおもしろそうじゃん、やってみれば?」っていう感覚なのでしょうね。時には採算さえ度外視して「おもしろい」と思われることに投資し、結果として大きなビジネスにしていく。このような遊び感覚に近い感覚は残念ながら日本の大企業には全くと言っていいほどありません。これが日本と他国の差なのかな、と考えてしまいます。
 また、日本は要素技術やハードに強い反面、他国に比べてシステムやソフトに弱いと常々言われています。このような視点から見た時、日本からツィッターやキンドルのような新しいサービスが生まれるようになるには、今の日本には何が必要なんでしょうね?「海外から見た日本国内のIT事情」みたいな記事も一部あるとうれしかったです。(海外では、日本のIT業界なんて記事にもならないかもしれませんが。)本誌の表紙には仕掛けがしてあって、白い表紙を光に透かしてみると「WHAT'S NEXT?」という文字が浮かび上がります。いつかこの文字が「次は何だろう?」という日本語になる日が来るとうれしいですね。

 特集以外も、今月号も相変わらず盛りだくさんの記事で全てを読み尽くすには相当な時間がかかります。その中で特に目を引いたのは「世界が見たNIPPON」という世界から日本を見た記事です。全部で六編の記事から構成されていますが、中でも目を引いたのは「日本の隠れた中堅企業は世界シェアを独占し続けるか」というUKの”エコノミスト”からの記事です。「これまで日本企業は独自の技術を囲い込むことで優位を保ってきたが、開放的なビジネスモデルを持つ海外の企業にいずれは追いつかれて行くだろう」というのがその内容です。記事では半導体製造装置市場で優位を保っていたキヤノンとニコンがオランダのASML社に取って変わられた例を紹介しています。
 ・・・以前も紹介しましたがやはりこれは島国という閉鎖的な環境で育った日本の性質なのでしょうか?日本人の気質そのものを変えることは簡単にはできないと思いますが、だとすると今の日本企業に打つ手はあるのでしょうか?いろいろと考えさせられる記事でした。

 同様に「世界が見たNIPPON」の記事の中の「「フランスの教科書」に抗議!?韓国の文化振興に水を差す日本」という記事の中では、日本人を「個人として接するとみな礼儀正しくて教養もあるのに、群れると非理性的な行動をとる」と評されています。そして、「この言葉に欧州が見た日本人像がよく反映されている」とも書かれています。これが欧米人の一般的な日本人観だとすると少し残念ですね。やはり日本人はもっと外に出て欧米人に対して積極的に日本人の良さをアピールしていくべきなのでしょうね。

 ・・・こんなことを考えていたら、ちょうどピッタリの記事に行き当たりました。「越境者的ニッポン」という森巣博さんの連載記事です。記事中では、日本人は「ほとんどの人たちは、自力で考えない」「自力で考えれば、日本社会はおかしなことばかりなのに、素朴な疑問を発せられない」と書かれています。日本人はある程度の豊かさを既に手に入れてしまい、政権が変わろうがどうしようが、最低限の生活水準の上では暮らしていくことができます。故に危機感を持つことが無く、リスクをとって外に目を向ける必要も感じていないのかもしれませんね。これが島国育ちの日本人と未開の地を開拓し続けてきた米国人の違いかもしれません。

 本誌では海外の様々な国で発行されている記事を抜粋しながら毎回ある趣旨に沿った特集を組み上げており、本誌を読むことで海外の様々な国でのトレンドや話題を知ることができます。また、これが私は非常に大きな本誌の魅力であると思うのですが、そういった海外の記事を通じて日本という国が抱える問題や、日本の特殊性も浮き彫りにされていき、日本という国を改めて見直すきっかけにもなります。
 世界各国のトレンドを知ると同時に今の日本を見直すことも出来るーこれで680円はお得ですね。次号も楽しみです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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