2009年12月16日

読書日記169:クーリエ ジャポン 2010年 1月号



タイトル:COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 1月号
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
特集 茂木健一郎責任編集『ベルリン』


感想--------------------------------------------------
 レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。レビュープラスを運営する株式会社ニューノーマル様は「住宅街から、世界へ」をモットーにワークメイトやレビュープラスというサービスを展開していらっしゃいます。先月号のレビューでは光栄にも編集長賞をいただき、編集部の訪問までさせていただきました。

 さて今号の特集ですが『ベルリン』です。今なぜベルリンなのか?それは1989年11月のベルリンの壁崩壊からちょうど20年が経過したからです。日本ではさほど大きな話題にもなっていなかったようですが、ベルリンでは記念式典なども開かれていたようですね。

 今号の特集では茂木健一郎さんの寄稿に始まり、ベルリンの壁建設から崩壊までの歴史、壁の崩壊に関わった人々の今、そして東西分裂の影を引きずりつつも新しく生まれ変わろうとしているベルリンの姿を生々しく描き出しています。今号の特集にしっかり眼を通せば行ったことが無くてもベルリンの生の姿が眼に浮かぶのではないでしょうか。

 私はベルリンには行ったことはないのですが、本特集を読むと非常に特殊な都市だということがわかります。東西ドイツの統一というのは資本主義国家と社会主義国家を統一して一つの国家を作り上げたという他に例の無いケースだそうです。そしてその統一の象徴ともいえる都市がこのベルリンだそうですね。何もかもが全く異なる二つの国を一つに統一するー。その作業はドイツという国家全体の政治、経済、文化といった様々な分野に光と影を生み出しているようです。本号ではその様子が現場の目線から丁寧に解説されていると感じました。

 私が今号の特集を見て特に印象に残ったのは二点です。
 まず一つ目は「気鋭の写真家が捉えた素顔のベルリーナーたち」というベルリン市民を写した9枚の写真です。どの写真に写されている人物もファッショナブルでセンスがよく、現代のカルチャーを発信する都市ベルリンに住んでいる印象を受けます。しかし一方でその写真の背景となっているのは落書きされたシャッターや剥き出しの建物であり、無骨さや荒々しさを感じさせます。東西統一という大きな波を超えつつある荒々しさと無骨さを持ち、それと同時に現代アートの発信地として多くの人々を惹き付けるベルリンという都市の魅力を良く表している写真だと思いました。

 そして二つ目は「統一20年のいまも格差が埋まらない理由とは」と題した記事です。この記事の中では東西の統一は表面上は上手く言ったように見えるが内包している問題は大きい、特に東独のあらゆる経済数値は表面的には良好に見えるため深刻な弱点が覆い隠されていると否定的なコメントを載せています。しかし一方で本誌で連載されているノーベル経財学賞受賞者であるポール・クルーグマンの記事中ではドイツは今回の不景気でGDPは急落したが失業者は最低限に抑えることに成功していると肯定的に見ています。
 ・・・両者の違いは視点の違いなのでしょうね。ミクロ的な視点とマクロ的な視点、現場の視点と全体的な視点。この視点の違いによりドイツの経済に対する評価が逆になっているようですね。どちらの見方が正しいということではありませんが、見方によって評価が間逆になるということについて、とても興味深く感じました。

・・・ベルリンという街は東西の統一から20年を経た今でもダイナミックに変わりつつあるのでしょうね。そしてそういった何かを生み出そうとするダイナミックな現場では例え経済的な豊かさとは無縁であっても、人も街も飾らずに生き生きしているようです。本号の記事からはそれがよく伝わってきました。

 本号はこのベルリン特集以外にも面白い記事がいくつもありました。タイム誌が発表した「世界の発明品」ベスト50、2009年を振り返る写真の数々、タリバンに拘束されたNYタイムズ記者の手記・・・。世界中から届くこれら全ての記事を読もうとすると何時間も必要かもしれません。

 世界中からの記事を見ていて思ったのですが、なんとなく世界では「持つ者」と「持たざる者」が明確に分かれてきているように感じました。島が次々と外国人に売られて行くインドネシア、配給制度の廃止により生活の危機に追いつめられて行くキューバ、一方で膨大な費用を投入して軍拡に歯止めのかからない南米、軍隊をも超える軍事力を持つようになった南米の麻薬組織・・・。世界を席巻する資本主義の中で、持つ者は持たざる者から略取することでさらに持とうとし、持たざる者は略取されまいと持つ者に抵抗します。この流れは近年、両者の格差が開くにつれて加熱しつつある気がします。この流れはどこまでいくのでしょうね。
 ・・・そういえば新作「キャピタリズム(資本主義)」の公開を控えたマイケル・ムーア監督のインタビューも載っていました。内容の非常に濃い本号、680円以上の価値は十分にあると思います。
------------------------------------------------------
 余談ですが、本誌は以前まで580円だったそうですが680円に値上げしたそうです。でも販売部数は全く変わらなかったそうです。また、主に都市圏での売り上げが多く、6割が都市圏での売り上げになるそうです。

 ・・・これらの特徴から見て、本誌の購読者には都市圏で働くビジネスマンが多そうです。しかも値上げしても購読者数が変わらないのですから収入に不安が無い層であり、コンテンツに十分な価値を見いだしていそうです。
 このような層へのコンタクトポイントを増やせば、さらに購読者数を増やすことができるのでは?と思いました。例えば空港のラウンジや、スポーツクラブやゴルフクラブの待ち合い、レストランやヘアサロンの待ち合い、こういうある程度収入に余裕のある層の集まるところに展開して行けば少し時間はかかるかもしれませんが購読者数は増えるかも?と思いましたが・・・どうでしょうね?思い付きで申し訳ないですが。

------------------------------------------------------
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


↓よかったらクリックにご協力お願いします
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
レビュープラス
posted by taka at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | クーリエジャポン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/135800628

この記事へのトラックバック