読書日記167:東のエデン by神山健治

昨日、レビューコンテストに応募した「クーリエ・ジャポン」様の編集部を訪問させていただきました!編集部の方、R+の方、参加者の皆様、どうもありがとうございました!詳細はまた後日、報告させていただきます。取り急ぎお礼まで。
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タイトル:東のエデン
作者:神山健治
出版元:メディアファクトリー
その他:

あらすじ----------------------------------------------
100億円で、日本を救え-正体不明の人物Mr.OUTSIDEは、12人の“セレソン”を選出し、あらゆる願いを叶えてくれるノブレス携帯を託した。与えられたのは100億円、課されたのは「日本を救う」という使命。一方、サークル「東のエデン」に籍を置く大学生・咲は、卒業旅行で訪れたホワイトハウス前で、全裸で記憶喪失の男・朗と出会う。彼の手には、拳銃とノブレス携帯-朗は、咲は、そしてこの国は、一体どこへ向かうのか。


感想--------------------------------------------------
 深夜に放送されていた「東のエデン」というアニメがあります。「ハチミツとクローバー」で有名な羽海野チカさんがキャラクターデザインを担当されていたということで有名な作品です。本作はそのアニメをもとに監督・脚本を勤めた神山健司さんが書かれた小説です。

 あらゆる願いが叶えられる代わりに、願いが叶えられる毎に対価として残金が減って行く携帯電話を託された12人のセレソンたち。彼らは100億円を使って今の日本を救えるのかー?

 まず始めにですが、私はアニメを見ていません。深夜にやっていて話題になっていることは知っていましたので、本作を読んでみました。本作を読んで最初に印象的だったのはその設定の素晴らしさです。12発のミサイルが撃ち込まれてあちこちにクレーターのできた日本。100億円の入った願い事を何でもかなえることの出来る携帯電話。そしてその携帯を使って「日本を救う」ことを目指す12人のセレソンたち。100億円を使っても日本を救うことが出来ない場合、「サポーター」によって抹殺される運命の彼らは独自の思想で日本を救おうとするー。この設定は完璧だと思います。これだけでもアニメを見てみたいと思いますね。
 また場所もめまぐるしく変わります。ワシントン、豊洲、群馬、京都とくるくると滝沢が動き、そのことが展開にスピード感をも与えています。

 一方で登場人物の心情の掘り下げはいまいちかな、と思いました。これはアニメを小説化しているからしょうがないと言えばしょうがないのですが、プロの小説家が書かれた小説と比べると、その心情の描き方は浅すぎると言わざるを得ません。よく読むと登場人物の心情や行動にも理不尽なところがある気がします。

 アニメや映画は映像を通じて観客にメッセージを与えるため、どうしても登場人物に動きが必要になります。また派手なアクションシーンや素晴らしい風景シーンがあればそれだけで観客を引き込むことができますが、一方で登場人物の心情や考えは明確に表現は出来ません。
 一方で小説では全てが文章・文字で表現されるため、登場人物の考えや心情をリアルに表現でき、さらに読者はその登場人物の心情に共感することで小説の世界に感情移入することが出来ます。でも一方でアクションシーンや風景シーンはリアルに表現できないため映像と比べるといまいちになります。

 本作はもともと映像で表現することを目的として作品が作成されているため、小説化することでその映像の弱さが大きくでてしまっていると思いました。もちろん先に述べた通り設定と羽海野チカさんの絵が抜群ですのでそこで大きくカバーできているのですが、心情を深くは表現することはできていないかと思います。派手なシーンも多いのですが登場人物がどたばたしているように感じられて、どうにも登場人物をリアルな人間として思い浮かべることができません。アニメを見て、羽海野チカさんの絵を思い浮かべながら本書を読むくらいがちょうどいいかと思います。

 あと、余談ですがー「100億円で世界を救え」というのはちょっと無理かな、と。。。いまの世の中、100億円では何もできませんね・・・。1000億とか1兆円とか無いと国家に影響を与えることは難しいです。本作で万能コンシュルジュのジュイスにいろいろとセレソンたちが頼み事をしますが、「え?こんな安くていいの?」って思ってしまいました。あと個人的にはジュイスやMr.OUTSIDEの正体は不明のままが良かった気がします。正体が分かってしまったことでちょっとスケールが小さくなってしまった気がします。

 本作はやはりアニメを見てから読むべきだったかなーと少し思いました。そうすれば今以上に十分楽しめたでしょうね。アニメを補完するのがこの小説の位置付けかなーと思いました。
 今度映画化もされるそうですね。しかも映画化にはProductin I.Gが関わっているとか。本作の続きが見れるのでしょうか?楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B


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