読書日記159:1Q84 Book2 by村上春樹
タイトル:1Q84 BOOK 2
作者:村上春樹
出版元:新潮社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。
Book 2
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。
感想--------------------------------------------------
前回紹介したBook1の続きです。これもあっという間に読むことが出来ましたが、やはり何を言いたいのか、残念ながらよく分かりませんでした。でも読み終わった後には確かな読後感と、すっきりとした充実感が残ります。不思議な作品です。
10歳の時に手を握り合ってからお互いのことを忘れられない天吾と青豆。二つの月が浮かぶ世界で、二人の世界は交わるのか・・・?
Book2ではBook1の謎がさらに深まって行きます。リトル・ピープルとは?なぜ空には二つの月が浮かぶのか?マザとドウタとは?ふかえりの書いた「空気さなぎ」とは・・・?
本作、冒頭からどんどん話に引き込まれて行きます。上述の謎を残したまま、天吾と青豆のお互いを思う気持ちを背景に物語は徐々に徐々にと進行して行きます。最後の最後まで読んでも、結局、よく分からずに終わりました。しかし、一つの物語が終わった、という確かな感触は残りますね。
本作、終盤にかけてフィクションと現実の境界が徐々に徐々にあいまいになっていきます。どこまでが現実で、どこまでが物語の中なのかその境界があいまいになるなかで目の前に見える、まぎれもない「現実」(例えそれが月が二つ浮かぶ現実でも)を受け入れることで青豆も天吾も前に進もうとします。
私なりの解釈ですが・・・結局言いたかったのは「この世界で生きて行くしかないんだ」ということかと思いました。1984年だろうが、1Q84年だろうが、今生きている世界とは違う世界に移って生きることを望むのではなく、現実の世界で色々なことを忘れたり、清算したりしながら生きて行くべきだ、と言っているように感じました。例え、その世界がその人にとってどのように見える世界であったとしても。その人にとっては月が二つ浮かぶ世界であったとしても。
また青豆と天吾の関係も心に感じるものがありました。お互いがお互いのことを何年も想い続け、例えその世界で交わることがなくても、心はつながりあい、いつも側に寄り添っているー。Book1ではこのお互いを想う気持ちが全く描かれていなかったので唐突な気がしましたが、Book2で描かれているこの想いの強さの描き方は、さすがにうまいと感じました。
終わり方も新しい生き方を暗示させる村上春樹さんの作品らしい終わり方でした。続編のBook3が出るという噂もありますが・・・どのようにつなげるのでしょうね。やはり主人公は青豆と天吾なのでしょうか。まだ憶測の段階ですが、出るのであればぜひ読んでみたいと思いました。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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