2009年06月10日

読書日記136:重力ピエロ by伊坂幸太郎



タイトル:重力ピエロ
作者:伊坂幸太郎
出版元:新潮社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とはー。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。



感想--------------------------------------------------
 何度も紹介している伊坂幸太郎さんの作品です。昔、読んだ作品ですが映画化されるということで読み直してみました。私は、本作と「死神の精度」が、最も伊坂幸太郎さんらしい作品かと思います。

 伊坂幸太郎さんの作品は張り巡らされた伏線、ウィットに富んだ会話が持ち味ですが、本作もその持ち味は十分に生きています。主人公:泉水とその弟:春の会話はウィットに富んでいるだけでなく温かさも感じられます。そして、物語を最後まで読んで分かる物語の全貌と張り巡らされた伏線の意図、泉水と春の本当の心情。素晴らしく良く出来た物語です。この方の作品の構成の巧みさにはいつも驚かされます。

 本作で最も強調されているのは間違いなく「家族の絆」です。泉水、春、そして二人の両親が過去の悲しい出来事を乗り越えて、日々を前向きに生きていく姿はいいですね。ともすればお涙頂戴的な展開になりそうな物語を、ユーモアと優しさでうまく支えていると思います。なにより心に残るのはやはりタイトルの元となった「重力ピエロ」のフレーズでしょうか。

「楽しそうに生きてれば、地球の重力なんてなくなる」
「その通り。わたしやあなたは、そのうち宙に浮かぶ」

以前、本作を読んでから何年も経つのに、不思議とこのフレーズだけは忘れませんでした。
ともすると、皮肉や嫌み、あてこすりに満ちた言葉ばかり発してしまう大人が多い中で、こんな前向きな、ユーモアに満ちた言葉を発することが出来る親を持った子供達は幸せだ、と私はつくづく思います。

 本作、まさに今、映画化されて上映中ですね。
 泉水を加瀬亮さん、春を岡田将生さん、父親を小日向文世さん、母親を鈴木京香さんが演じているそうです。原作の雰囲気に近い役者さんばかりですね。あと、夏子さんを吉高由里子さんが演じていますね。吉高由里子さんはドラマ:「ラブ・シャッフル」や「白い春」に出ていますがとても演技力のある女優さんだと思います。本作でどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。

家庭の事情により映画館に足を運ぶのは難しいですが・・・、そのうち見てみたい作品です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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posted by taka at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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