タイトル:向日葵の咲かない夏
作者:道尾 秀介
出版元:新潮社
その他:
あらすじ----------------------------------------------
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
感想--------------------------------------------------
初めて読む作家さんです。ホラー、ミステリ作品ですね。私は本書を読んで乙一さんを思い出しました。作品全体に漂う雰囲気がどことなく似ています。(ホラー、ミステリという分野だから、というだけかもしれませんが・・・。)
本書、読み始めた時と読み終わった時でだいぶ作品への印象が変わりました。最初はオカルト系かと思っていたのですが、もっと人間の狂気を深く描いた、内面的恐怖を感じさせる作品でした。
主人公のミチオ、妹のミカ、二人の母親、S君、トコ婆、古瀬さん、岩村先生・・・。登場人物のほとんど全員がどこかおかしく、普通ではありません。何気ない日常を送っているようにみえて、どこかに狂気を持っています。そして、物語が進むに連れて、徐々にその狂気が姿を現してきます。
何気ない日常を送っているように見えて、人間はみな多かれ少なかれ狂気を抱えている。そしてその狂気を押し殺し、狂気から逃げて日常を暮らしている。作者はそのように言っているように見えます。確かに我々の生きる現実には逃げ出したくなるような嫌なことが多々あります。それにぶつかったときに人間はどうするのか?本作の主人公であるミチオのような小さな少年はどうするのか・・・?本作の最後にミチオが取った行動は哀しいですが、現実かもしれません。
本作、人によりますが、読後感は決してよくはありません。救いもありません。それが乙一さんの作品との最大の違いかな、と感じました。甘すぎる作品も辟易してしまうのですが、ストーリーに全く救いのない作品も私はあまり好きではありません。ミステリ作品としての技巧、心理描写の深さ、トリックや仕掛けの巧みさ、そういったものも重要ですが、私は物語を読む際にやはりストーリーのどこかに救いがほしいな、と感じてしまいます。そうでないと・・・やはり哀しくないですか?(救いの無い作品として私は真っ先に「慟哭
この方の他の作品も色々な賞を受賞したり、ノミネートされたりしています。特に「背の眼
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):B
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