タイトル:オトナの片思い
作者:石田衣良など
出版元:角川春樹事務所
その他:
あらすじ----------------------------------------------
眠れぬ夜に想い焦がれ、一目逢うだけで胸がふるえる。男と女は、いつも恋を探し続ける…石田衣良「フィンガーボウル」、栗田有起「リリー」、;伊藤たかみ「からし」、山田あかね「やさしい背中」、三崎亜記「Enak!」、大島真寿美「小さな誇り」、大崎知仁「ゆっくりさよなら」、橋本紡「鋳物の鍋」、井上荒野「他人の島」、佐藤正午「真心」、角田光代「わか葉の恋」の全十一編。いまをときめく実力派作家たちが紡ぎ出す、それぞれの「想い」のカタチ。贅沢な恋愛アンソロジー、待望の文庫化。
感想--------------------------------------------------
様々な作家さんが「片思い」をテーマとした作品を載せた、短編集です。一編が20ページ程度と読みやすく、ちょっと時間が出来たときにさらっと読める本でした。作家さんは石田衣良さん、三崎亜記さん、角田光代さんと有名な方ばかりで非常に贅沢な仕上がりになっています。
一言で「片思い」と言ってもその描き方は作者さんそれぞれでとても面白いです。すがるような片思い、何気ない片思い、自分でも気付かない程度の片思い・・・。どの作品も心が少しほっと温かくなりますね。いい作品だと思いました。
中でも私のお勧めは、伊藤たかみさんの「からし」と角田光代さんの「わか葉の恋」です。
からし色のソファーのある家で同棲する二人と一匹の猫を描いた「からし」。その二人と一匹の描き方がとてもほのぼのとしていて、でも少しずれていて、私は好きです。
定食屋「わか葉」で出会う一回りも年下の若造に恋する四十女を描いた「わか葉の恋」。さすが角田光代さんですね。オトナの恋の描き方、恋へのスタンスの描き方がとても見事です。この話が作品の一番最後にあることによって、本書の読後感もとても温かなものになっています。
どの作品も作者の持ち味が生きていて、とても素晴らしいです。このように「作家としての味を持つ」というのはとても重要であり、難しいことでもあると思います。例えば石田衣良さんの作品であれば、柔らかな少し甘い雰囲気の作品、三崎亜記さんの作品であれば、どこか少し不思議な作品、というものを読み手は期待してしまいます。この期待を裏切らないように作品を作れるというのはさすがプロだな、と感心してしまいます。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
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