タイトル:ざらざら
作者:川上弘美
出版元:マガジンハウス
その他:
あらすじ----------------------------------------------
熱愛・不倫・失恋・片思い・男嫌い・処女、そしてくされ縁・友愛・レズビアン。さまざまな女性の揺れ動く心情を独特のタッチで描いた名品揃い。クウネル連載20篇に他誌発表作3篇を加えた、ファン注目の川上ワールド。
感想--------------------------------------------------
川上弘美さんの作品です。名前は聞いたことがありましたが、恥ずかしながら読むのは初めての作家さんです。クウネルという雑誌に連載されていた20篇の短編をまとめた短編集です。
30代のOL、20代の独身女性、10代の学生・・・、年齢や立場の違う女性の立場からさまざまな恋愛の形を描いています。
本作、一篇は数ページで字数もさほど多くはありません。でもどの作品も内容がとても濃いです。そして何よりも、ちょっとしたことに揺れて、感動して、多くのことを感じる、女性の心情の描き方が抜群にうまいです。私は男性なので完全には分かりませんが、きっと女性読者の多くが各話の主人公の感情に共感を覚えるのではないでしょうか。これだけのページ数で読み手の心を揺さぶる作品を書けるというのは凄いことだと私は思います。
旅行途中で知り合った男性との恋、不倫、失恋の痛手から立ち直るまで・・・。そういった様々な恋の形、恋の瞬間をうまく切り取って素晴らしい物語に仕上げています。主人公の感情のリアルさ、描き方はとても物語とは思えず、作者の実体験?と思ってしまいます。きっと作者は素晴らしい恋をたくさんしてきたのでだと思います。
全体的に緩やかな展開で女性の心情を豊かに描いた本作の展開は見事ですね。そしてどの短編に出てくる女性もとても可愛らしい・・・!まったりした時に読むにはいい本だと思います。
総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
↓よかったらクリックにご協力お願いします

この記事へのコメント