2017年02月25日

コミック日記146:ダンジョン飯4


タイトル:ダンジョン飯 4巻
作者:九井 諒子
出版元:KADOKAWA / エンターブレイン
その他:

あらすじ----------------------------------------------
ついに炎竜(レッドドラゴン)のいる地下5階に
たどり着いたライオス一向。
鉄をも弾く真っ赤な鱗と、骨まで灰にする炎を吐く強敵を相手に
ライオスは、命をかけた作戦を決行する……!
妹・ファリンは救えるのか? そして、竜の肉を喰うことはできるのか!?
腹ペコダンジョンファンタジー、激闘の第4巻!

感想--------------------------------------------------
知る人ぞ知る、という作品だったはずなのに、いつの間にか大ヒット作となっていたダンジョン飯です。一巻の冒頭でレッドドラゴンに食べられた妹ファリンを救うためのライノスたちの旅は、本巻で一つの節目を迎えます。

本巻はこれまでの巻と違ってレッドドラゴンとの死闘が物語の中心になります。これまで戦ってきたどんなモンスターよりも強いレッドドラゴン相手に、ライノス、マルシル、チルチャック、センシは勝つ事が出来るのかー。バトルパートメインの巻なのに、とても面白く、読み応え抜群でした。

ファリンへの愛を感じる巻ですね。マルシルにライノス、二人の思いがよく伝わって、さらに新たな展開が今後待ち受けていそうで、今後の展開がとても楽しみです。今後は迷宮を作った狂乱の魔術師を探し求める旅になっていくのですかね。

本巻はこれまでの巻ほど食事パートが多くはありませんでした。なので料理という観点では物足りない部分もあったかもしれませんね。何でも料理して食べたがるセンシとライノス、それを嫌々食べながらも美味しさを否定できないマルシルとチルチャック、この掛け合いが絶妙です。また本作は九井 諒子さんという女性の作者だけあって、物語が繊細で、細かいところまでよく創り込まれていて、すごく好感が持てます。燃料に舌打ちで着火するというドラゴンの炎を吐く仕組みの説明(炎を吐く直前に「舌打ち音」がすることでわかるそうです。)や、地下都市の描写なんてとてもいいです。女性が読んでもとても面白く感じると思います。

本作は、今一番面白い漫画の一つですね。ダンジョンの地下6階、7階と進むにつれてどんな強力なモンスターが出てくるのか、それをどうセンシが料理していくのか、楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2017年02月18日

読書日記629:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの



タイトル:人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

作者:松尾 豊
出版元:KADOKAWA/中経出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人類の希望か、あるいは大いなる危機なのか?「人間のように考えるコンピュータ」の実現へ、いま、劇的な進展が訪れようとしている。知能とは何か、人間とは何か。トップクラスの人工知能学者が語る、知的興奮に満ちた一冊。

感想--------------------------------------------------
いま、世の中で最も注目されている技術の一つがAiとも呼ばれる人工知能です。CMで有名となったIBMのワトソンを始め、自動車の自動運転技術や検索技術など様々なところに人工知能は適用できるのではないか、と着目されており、そこで本書を手に取ってみました。

読み終えての感想ですが本書は人工知能について非常に良くまとまった本です。私は「人工知能」という言葉は知っていましたが、恥ずかしながら「機械学習」と「ディープラーニング」の違いもよくわかっていませんでした。そこのところも含めて、いま大三次AIブームとしてなぜこれほどまでにAIが取り上げられているのか、特徴量を自動で抽出するディープラーニングの特徴、その技術の内容、今後の発展の可能性などが非常に良くわかります。専門書のようでいて、専門外の人にもわかりやすく書かれています。

AIは人間を超えるか、という質問が昨今いろいろなところでも取りざたされていますが、この本を読むとその答えについても何となくわかってきます。人工知能は「膨大なデータをもとに判別する」ということは得意であり、この能力については人間を凌駕していきそうです。ただ、この判別する、という領域に置き換えられない分野では人間は強みを発揮し続けると感じました。

本書の後半には、人工知能に関する技術の発展と社会への影響に着いて図式を交えて描かれており、これがとても参考になりました。また人工知能の発展に伴う影響は、技術面だけでなく、人工知能の行動結果に誰が責任を持つのか、といった法律面の整備などにも強く影響を及ぼしそうだと感じました。

世の中を一変させる可能性を持つ人工知能技術。今後どのように発展していくのか注目です。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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2017年02月11日

読書日記628:君の膵臓をたべたい



タイトル:君の膵臓をたべたい
作者:住野 よる
出版元:双葉社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
偶然、僕が拾った1冊の文庫本。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった―圧倒的デビュー作!

感想--------------------------------------------------
自分はよく本屋に行くので、なんとなく売れ筋の本はわかるのですが、本書もその一冊でした。目立つところに長らく並んでいる本であることと、その奇妙なタイトルに惹かれて読んでみました。昨年度の本屋大賞二位の作品ですね。

全く予備知識なしに読みました。そのタイトルと、落ち着いたカバーの印象から大人向けの本かと思っていましたが、読み始めてすぐに若者向け、特に登場人物と同じ十代の少年向けの本と感じました。主人公は根暗で内向的で友達のいない少年。そんな少年がクラスの中でも人気のある少女とふとしたことで出会いーという話。よくある話だけど、実際にはない話だよな、四十も超えるとこうした話は読んでて寒いだけでなくて辛いよなーと思いながら読んでいました。現代版の「いちご同盟」みたいだな、なんて思ったりしていました。

しかし後半に入っていくと、この本はそんな簡単な本なんじゃない、っていうことがわかります。張られた伏線もさることながら、二人の関係に、二人の想いと言葉に、久しぶりに清々しい気持ちになりました。少しだけ引用させてください。


「偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私たちを会わせたの。私達は自分の意思で出会ったんだよ。」

「怖がらなくてもいいよ。なにがあっても人と人はうまくやっていけるはずだからね。」


物語の中で語られるこれらの言葉には本当に説得力があります。いつも一緒にいたのにお互いの方を向いていることに最後の最後でようやく気づくことのできた主人公。そしてその思いを表す言葉「君の膵臓を食べたい」。極上の青春小説ですが、私のような大人が読んでも感動する作品です。読んでよかった、と素直に思うことのできる本でした。

本作は実写映画化されるそうです。当然だな、と感じます。一方でアニメ映画化されてもいいなあ、とも感じます。絶賛されている「君の名は。」と切り口は違いますが、美麗な映像として作られればこちらも間違いなく好評になるはずです。

自分と違う人間への憧れ、恐れとの別れ。おそらく青春時代には誰しもが感じたであろうこれらの感情をうまく扱っていて、最後まで本当に清々しくて、いい本でした。この方の他の作品も読んでみようと思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):SS
レビュープラス
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2017年02月04日

読書日記627:サブマリン



タイトル:サブマリン
作者:伊坂幸太郎
出版元:講談社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「武藤、別におまえが頑張ったところで、事件が起きる時は起きるし、起きないなら起きない。そうだろ? いつもの仕事と一緒だ。俺たちの頑張りとは無関係に、少年は更生するし、駄目な時は駄目だ」/「でも」/うるせえなあ、と言いたげに陣内さんが顔をしかめた。/「だいたい陣内さん、頑張ってる時ってあるんですか?」/と僕は言ったが電車の走行音が激しくなったせいか、聞こえていないようだった。(本文より)

感想--------------------------------------------------
伊坂幸太郎さんの作品です。「チルドレン」と同じ家裁調査官の陣内さんと武藤くんが活躍する作品です。主人公の陣内さんのキャラクターがとても生きているシリーズですね。傍若無人で無茶苦茶だけど人情味のある陣内さん。この人のキャラクターがとてもいいです。

陣内さんと武藤くんは無免許運転で死亡事故を起こした少年の調査を受け持つことになった。その少年は過去に両親と友人を事故で失っていたー。

本作のテーマは「人生の中のどうしようもないことに、どうやって向き合うか」ということかと思います。この作品の中には陣内さんと武藤くんが受け持つ事故や犯罪の関係者が何人か出てきますが、その多くが、「どうしようもないこと」に人生を翻弄されています。

故意ではないのに人を死に追いやってしまった人。最愛の人を不慮の事故で亡くした人。そうした登場人物を通して著者は読者に様々な答えのない問いをぶつけてきます。「善意を持っているのに人を死に追いやってしまった人」と「悪意の塊なのに人をまだ死なせてはいない人」ではどちらが問題なのか、悪人なら殺してもいいのか、などは答えの決して出ない問いです。一般人の多くはこうした問いとは遠いところで生きていくことができますが、不幸にしてこうした問いを突き付けられてしまう人もいて、そうした人たちを陣内さんと武藤くんは真摯に見つめていきます。

非常に扱いが難しいこのようなテーマをよく作品にできたな、というのが正直な感想です。答えの出ない問いを突き付けられたまま、あるいは予期せぬ事故で人殺しの汚名を一生背負ったまま生きていくことになってしまった人というのは確かに存在して、そうした人たちの生き方をしっかり見つめている、と強く感じました。陣内さんと武藤くんのキャラが重くなりがちなテーマを軽くしていて、読み進めることができます。

眼の見えない永瀬や、チャールズ・ミンガス、ローランド・カークといったミュージシャンを通して著者が訴えたかったのは、「それでも生きていた方がいいに決まっている」ということかな、と感じました。人生は答えのない問いに溢れている。絶望的な状況に追い込まれ、「自分なんかが生きていていいのだろうか」と考えてしまうこともある。でも、それでも生きていい方がいいに決まっている。その強さが上記のミュージシャンたちや陣内さんからは感じました。

傍若無人の陣内さんの話、おもしろいです。このシリーズももっと続きが読みたいですね。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂 幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする