2017年01月29日

読書日記626:ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える



タイトル:ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える
作者:ラズロ・ボック (著), 鬼澤 忍 (翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)
出版元:東洋経済新報社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
君は、最強企業が欲しがる人材なのか?未来の新しい働き方のすべて、ベストチームをつくるアドバイス―世界最高の職場を設計した男、グーグルの人事トップが、採用、育成、評価のすべてを書いた。

感想--------------------------------------------------
最近話題のビジネス書です。あのGoogleの人事トップが採用、育成、評価のすべてについて語った本として有名です。全五百ページ以上と読み応えたっぷりです。

本書を読み終えて感じた事は、「これはGoogleだからこそできることだ」というものと、「これだからGoogleなのだ」というものです。人事、採用、育成、評価について書かれた本、というよりも、GoogleをGoogleたらしめているGoogleの文化について書かれた本、という事ができるかもしれません。もちろん他社も教訓に出来る点は多くあります。しかし「こんなこと他の会社には無理だろ」と思う箇所も多いです。飛び抜けた業績を上げているからこそ出来る点も多いですし、逆にこれだから飛び抜けた業績を上げられているのだ、と思う箇所も多いです。

本書を読んで全般的に感じる事は、Googleという会社は従業員を善なる者として最大限尊重して扱っている、ということです。徹底的な管理を施す会社と無制限の自由を与える会社があったとすると、Googleは限りなく後者に近いです。それで成り立つのは、世界の中でもレベルの高い頭脳を持つ人々が多く集まっている点、採用に凄まじく時間をかけ、間違いのない人を入社させている点などが挙げられると思います。「自分の仕事に意味を求める」。これは誰もがそうですが、そのことをうまく仕事のモチベーションとして昇華させる仕組みを作り、さらに人の持つ「善意」を信頼して限りなく強制を排除しているGoogleの文化は会社としてもコミュニティとしても理想に近いと感じます。

マネージャーが権利を手放しメンバーの自主性を尊重する、マネージャーがメンバーに寄りそう、食事と通勤バスは全て無料、社内に様々なコミュニティが存在、などなどGoogleの特徴は非常に多いです。しかしその多くが「社員を善意を持った個人として尊重する」という点からスタートしている点が素晴らしいと感じます。そのような理想が理想のまま通っている点は奇跡に近いかもしれません。

「社員に満足してもらう」ひょっとしたら人事の究極の目標はこのひと言なのかもしれません。そしてこの目標を達成するためには、「人間はどのようなときに満足するのか?喜ぶのか?」というところや、さらに深く、「人間とはどのようなものか?」まで掘り下げる必要がありそうです。そしてそのような観点から社員を見ると、違った見え方が出来るように感じました。何より私に取っては、たいていの日本企業に存在する「既得権益層」がいないことが素晴らしく感じました。何もしないのに権力を振り回して高い給料をもらう人たち。そのような人たちが自然と淘汰される仕組みが作られているようにも感じました。

人事、育成、採用、評価の本と言うよりも、文化、コミュニティのあり方、作り方について書かれた本と言った方がいいかもしれませんね。私は本書の前半よりもむしろ後半の文化的側面について書かれた章の方が面白く読めました。五百ページ超となかなかの読み応えですが、読んで損はない本です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
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2017年01月22日

読書日記625:初対面でも話しがはずむ おもしろい伝え方の公式



タイトル:初対面でも話しがはずむ おもしろい伝え方の公式
作者:石田 章洋
出版元:日本能率協会マネジメントセンター
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「おもしろさ」は、最強の武器である。「どうしたらおもしろい伝え方ができるのか」30年間考え続けてきた、元落語家であり、ベテラン放送作家でもある著者が、その答え―シンプルだけど奥深い、だれでもおもしろい人になれる「伝え方の公式」―を解き明かす。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書はここでも何冊も紹介している放送作家 石田章洋さんの著作です。おもしろい伝え方の公式。どのように自分の想いをうまく伝えるか、これは誰しもが悩むことだと思います。

おもしろい伝え方をするにはどうするか、本書で特に印象に残ったのは「空気を読む」という点です。「空気を読む」これはつまりその場にいる人たちのことを考える、という意味ですね。「空気を読む」というのは日本人独特の言い回しでいい意味でも悪い意味でも使われますが、本書では「相手のことを考える」という意味で使われていて、おもしろく伝えるには相手のことを考える必要がある、というあたりまえのことに気づかせてくれます。

また「キンカンの法則」と呼ばれる「緊張と緩和が笑いを生み出す」という法則は初めて聞きましたが、なるほどと思わされます。張りつめた緊張と、その緩和。さまざまなケースが本書には書かれていますが、こちらも納得できました。(詳細はぜひ読んでください!)

「笑い」や「ユーモア」をうまく操れる人は、才能豊かな人と感じます。しかし一方で本書を読むと、何も特別な才能は必要なく、相手のことをよく見て、ちゃんと思いやって、考えること、が重要なのだ、ということにも気づかせてくれます。「とにかく俺を快適にすることを考えろ」といった談志師匠の言葉が特に印象的でした。

テクニカルなことはなかなか使う場を考えたりと難しいですが、まずは相手を思いやることと想像力を働かせることから始めてみようかな、と感じましたt。

本書は二百ページ超の本ですが、読みやすく、著者の他の本と同様にあっという間に読めます。読みやすく役に立つ本だと思います。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

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2017年01月14日

読書日記624:裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の



タイトル:裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の<〈応化クロニクル〉><〈応化クロニクル〉> (角川文庫)
作者:打海 文三
出版元:KADOKAWA / 角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
両親の離婚後、月田姉妹は烏山のママの実家に引越し、屈託なく暮らした。そして応化九年の残酷な夏をむかえる。東から侵攻してきた武装勢力に、おじいちゃんとおばあちゃんとママを殺されたのだ。十四歳の姉妹は、偶然出会った脱走兵の佐々木海人の案内で、命からがら常陸氏へ逃げ出した。そして――戦争を継続させているシステムを破壊するため、女性だけのマフィア、パンプキン・ガールズをつくり世界の混沌に身を投じた――。

感想--------------------------------------------------
打海文三さんの「裸者と裸者」の下巻です。このシリーズは「応化クロニクル」と呼ばれているらしいですね。続編として「愚者と愚者」、「覇者と覇者」があります。著者急逝のため未完なのが残念ですね。

戦乱の東京を生き抜くために月形姉妹は女子だけの戦闘集団パンプキン・ガールズを結成する。東京UF、政府軍、反政府軍、2月運動など様々な勢力が交錯する”シティ”での戦闘は苛烈さを増していくー。

読み手をぐいぐいと引っ張って読ませる本です。多くの戦闘集団と登場人物が交錯し、立ち位置や勢力図が目まぐるしく変わるのですが、さほど混乱をきたさないのは上巻があるからでしょう。佐々木海人という個人が幾つもの戦場を潜り抜けて頭角を現していく上巻に対し、下巻は月形姉妹という二人の女子が主人公ですが、その冷徹さや壊れ方は海人にも負けません。

下巻まで読んでようやくわかりましたが、本作の著者の文体は「無骨」と言っていいかもしれません。飾りが全くなく、簡潔で、冷徹で、事実を淡々と描いていきます。想像や感情といった不確かなものの入り込む余地のないその文体は戦場の描写によくあっています。また、戦場に生きる月形姉妹たちの生き方にもあっていますね。現実、生と死、そういった生々しいものの痛さが伝わってくる文体です。

東京、神奈川の一画を舞台とした物語は現実的な描写でぐいぐいと進んでいきます。流される血と失われる仲間。そして衝撃の結末。どこにも救いなどなく、その救いのなさがまた一方で清々しくもある小説です。特にラストの死体屋の言葉がそれをよく表していると感じました。幻想も感傷も期待も希望もなく、あるのはただ一瞬一瞬の現実だけ。そのような戦場の描写がすごくうまく読み手を引き込む作品です。

なかなかジャンル分けの難しい作品ですね。青春小説というには戦場の描写が生々しすぎるし、ラノベというには硬派すぎます。戦争小説かと言われると月型姉妹やパンプキン・ガールズの描き方はまた少し違う気もします。


きっとこれが「打海文三」の作品で、ジャンル分けなんて不要なんでしょうね。伊坂幸太郎さんが「3652」で絶賛していたのが少しわかる気がします。他の作品も読んでみようと思います。特に「私の愛したゴウスト」が期待大ですね。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

2017年01月07日

ゲーム日記11:ファイナルファンタジー XV



タイトル:ファイナルファンタジー XV
開発:スクウェア・エニックス
その他:

あらすじ----------------------------------------------
初めて「ファイナルファンタジー」をプレイする人のための、15番目の最新作。

「リアル」と「ファンタジー」の融合により生み出される圧倒的な世界観とグラフィック、そしてシリーズ初の挑戦となる「オープンワールド」の採用、さらにアクション性の高い爽快なバトルの導入によって、プレイヤーは世界に浸り、これまでにない最高の自由と臨場感を味わうことができる。

「ファイナルファンタジー」は新たな世代のための新たな礎を、今、再び生み出そうとしている。
感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含みますのでご注意ください。

ドラクエと双璧をなす国内RPGの最高峰、待ちに待っていたファイナルファンタジーの最新作です。待ったかいがありました。これまでにFFは1〜10、10-2、12、13、13-2とクリアしてきており、トロフィーコンプなども達成しています。そうしたユーザーからの感想です。

父と子。そして王の物語ー。
クリアしてこのキャッチフレーズの意味が強く分かります。仲間との絆、父と子の絆、愛する者との絆。この物語はルシスの王子ノクティスがルシスの王になっていくまでの話です。そのノクティスを支えるグアルディオ、イグニス、プロンプトという三人の仲間、婚約者ルナフレーナ、父レギス、さらに多くの人たち。冒険を通じて彼らとノクティスの絆をいたるところで感じる事ができます。前作FF13は用語と世界観が難しすぎる箇所がありましたが、そこがきっちり解消されています。「絆」と「王子から王へ」という二点を主軸にする事で、物語がよりわかりやすくなっています。

戦闘システムも秀逸のできです。FF10くらいから戦闘システムのバランスは素晴らしいと思っていて、特にFF13のオプティマシステムのバランスは秀逸すぎると思っていたのですが、本作はそれに匹敵する完成度です。特に魔法、リンクアタック、料理の効果が絶大なため、積極的に使う事を考える必要があり、そのことが戦闘に深みを与えています。この三つの効果が低いと、武器のごり押しだけになってしまうため深みはなくなってしまいますね。自らも巻き込む強大な魔法を効果的に使うために敵と味方の距離をうまくとる、大ダメージを与えるリンクアタックを決めるために背後を取り、パリーを決める、料理のバフ効果が凄まじいため、食材とレシピを探すー。これらのことが戦闘だけでなく、旅そのものに深みを与えています。

そして広がる広大な世界。クリアー後もまだまだ続くクエストの数々。クリアーはしましたがまだまだ本作は楽しめそうです。単なるオープンワールドではなく、車(レガリア)をうまく使う事で物語がスムーズに進むようにと工夫もされています。また旅をする仲間たちとのかけあいも、様々な場面に応じてものすごい数が用意されています。戦闘でも仲間の存在感を感じますし、このあたりの創り込みはすごいです。

一方で欠点としてはロードが長いこと。これくらいでしょうか。世界のあちこちを行き来するたびにロードが入ります。移動が多いのでここはややストレスになります。また、やはり「KINGSGLAIVE」を見ていた方がさらに本作はさらに楽しめます。個人的には「KINGSGLAIVE」では雑魚役だったレイヴスが本作では将軍として存在感を持っていたのがよかったです。Amazonなどではネガティブなコメントも多いですが、コメントの数が多い事と、結局のところコメントを書いた人もクリアしているので、そんなに気にするほどではないと思います。その他、些細ですが以下感想です。

・KINGSGLAIVEの登場人物がもう少しでてくると嬉しかった。(特にグラウカ将軍とか、、、。映画で完結しているので無理??)
・アーデンは無限の住人の卍丸みたいだった…。
・イグニスがあんなふうになっちゃうのは必要だった??
・13章だけ別のゲームみたいになっている(バイオハザード??)。。。
・9章までにある程度レベルを上げていないと(Lv50くらい?)その後がたいへんそう。。。
・武器・アクセ類はもっと個性があってもいいかも。初期の頃の正宗やラグナロクのような、とって感動する武器があまりない。

詳細は実際にプレイしていただきたいのですが、本作のテーマ曲でもある「スタンド・バイ・ミー」が流れる箇所では涙が出そうになりました。FFのナンバリングタイトルとしては文句なしのできだと個人的には思います。何年後になるかわかりませんが、次回作もぜひプレイしたいと思います。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2017年01月01日

読書日記623:裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争



タイトル:裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争<〈応化クロニクル〉><〈応化クロニクル〉> (角川文庫)
作者:打海 文三
出版元:KADOKAWA / 角川書店
その他:

あらすじ----------------------------------------------
応化二年十一月未明、〈救国〉をかかげる佐官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は〈救国臨時政府樹立〉を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した――。

感想--------------------------------------------------
打海文三さんという著者のことは実はよく知りません。この作品を読もうと思ったきっかけは伊坂幸太郎さんが作品、「3625」で打海さんを絶賛していたから、というものです。加えて、この作品のあらすじを読み、その世界観に「読んでみたい」と思ったからです。

政府軍と反政府軍が戦闘を繰り広げる日本。戦争孤児となった佐々木海人、恵、隆の三兄弟は、その日を必死に生き延びていくー。

舞台は近未来の日本。財政破綻や武装蜂起などにより戦乱の地と化した日本を舞台に、主人公である佐々木海人が家族を守り、少年兵として必死に生き抜きのし上がっていく姿を描いた作品です。戦争孤児、麻薬、マフィア、そして目を覆うばかりの残虐行為と激しい戦闘。戦争作品にはつきものの光景ですが、日本を舞台に描かれた作品は少ないと感じました。

常陸軍に入り、その中でのし上がって力を蓄えていく海人は少年兵でありまともな教育を受けていないのにまっすぐで、その生き様は読者に感銘を与えます。この海人の性格があるからこそ、最後まで読み通せたと言ってもいいかと思います。

軍の中で出会う様々な仲間たち、そして出会いと別れ。戦争作品なので簡単に人が死んでいく様は読んでいて厳しいですが、海人のまっすぐな生き様が救いとなります。文体はとても淡白で淡々と事実を積み重ねていく書き方です。そしてそれが本作では非常に生きています。これが濃厚な描き方をされていると、読み切れなかったのではないかと思います。

本作は下巻に続きます。下巻は同じ舞台ながら主人公が切り替わります。最後まで読み終えたときに何が見えるのか、楽しみです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス