2016年11月27日

映画日記72:君の名は。

タイトル:君の名は。
監督:新海誠
その他:

あらすじ----------------------------------------------
千年に一度の彗星接近を間近に控えた頃、糸守というド田舎に住む女子高生の三葉は、東京に住む男子高生の瀧と身体が入れ替わることに気付く。いったい何が起きているのかー。

感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含むのでご注意ください!!

爆発的なヒットを飛ばし続ける本作「君の名は」。ここのブログでも紹介しているように、新海誠作品は「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速五センチメートル」など、「言の葉の庭」以外は見ています。


もはや社会現象とまでなっている作品ですが、ああそりゃそうだよね、こんなど真ん中の恋愛ストーリーをこんなに直球で、こんな美麗な絵で描かれたらそりゃ感動するよね、という感じです。凝った仕掛けはたくさんあります。でも本作の中心に描かれているのは「結び」ですね。人と人の結び。それは家族であり、友達であり、恋人であり、あらゆる人と人との縁なのでしょう。

最も感動したのはラストです。大人になって「何かを探している」という漠然とした感覚に取りつかれたまま日々を過ごす三葉と瀧。「秒速五センチメートル」みたいな終わり方だったらどうしよう、って正直、どきどきしました。でもそこは杞憂でしたね。とてもいい終わり方でした。以前のブログにも書きましたが、「秒速五センチメートル」の主題は「人が前に進んでいくまでの時間」。そして本作「君の名は」の主題は「結び」。この違いですね。

なんかもう、これだけ青春ど真ん中の作品をド直球に描かれると、どんな年代にも受けちゃうんでしょうね。思春期の若者は自分事みたいにどきどきするし、大人や年配の人たちは、「結び」の強さに感動するし。これまで新海作品は絵はすごく綺麗なのに登場人物がみんな堅く真面目なイメージがあったのですが、本作の三葉と瀧は現代っぽくとても柔らかな印象を受けました。これもヒットの一因でしょうね。細田守作品を思い出すくらいに感情豊かでよく動きます。「時をかける少女」の影響もあるのかな、とか思ったりしました。

RADWIMPSの楽曲もいいです。個人的には話題の「前前前世」より「スパークル」の方が染みました。

あー、なんか嫌なこともあるけど、青春っていいねー。って感じです。ラストの二人の涙がとっても印象的で素敵です。二回も見ちゃいましたが、またみたいです。新海誠作品だけあってどのシーンもとても美しいので何回でも見れてしまいます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2016年11月26日

映画日記71:シン・ゴジラ

タイトル:シン・ゴジラ
監督:庵野秀明
その他:

あらすじ----------------------------------------------
謎の生命体、東京湾に現るー。しかしお役所体質な政府は、有効な手を打てないまま東京への上陸を許してしまうー。

感想--------------------------------------------------
*ネタバレを含みます!ご注意!!

「シン・ゴジラ」、これも見たかった作品です。監督はあの「エヴァンゲリヲン」の庵野秀明。あの庵野秀明がゴジラを撮る。これだけで見るしかない、ですね。本日Twitterで開催されていたシン・ゴジ実況も無人在来線爆弾が炸裂し、凍結終了して一段落。ということで書いてみました。

庵野がゴジラを描くとこうなるのか、というかこれってエヴァの使徒をゴジラに置き換えただけじゃないか?とエヴァを見た人なら誰もが思ったことでしょう。迎撃する自衛隊の見せ方とか、カメラのアングルとか、音楽とか、完全にエヴァそのままで、エヴァこそ出てこないけど「エヴァだろ!」と突っ込みを入れながら見てしまいました。最終決戦の名前もヤシオリ作戦。ああご存知ヤシマ作戦のパクリですね。使徒ラミエル戦そのままで、懐深く攻め込まれ、居すわられた敵に対処しなければならないところまで同じです。電力と薬剤の違いはありますが多くの重機が並ぶ様まで同じで、もう笑いながら見てしまいました。

しかしそれにしても俳優陣、女優陣が豪華です。主役の長谷川博巳さんや石原さとみさんはともかく、チョイ役にこんな人を…!みたいなのが多くあって俳優探しも楽しめました。個人的にはちょっと壊れた学者の市川美日子さんとか弁当屋の片桐はいりさんとか、大杉蓮さんとか、よかったです。一方で主人公の長谷川博巳さんが薄い薄い…。周囲を活かしているんだからいいんでしょうね。石原さとみさんはちょっとアスカが入ってますね。

普通に見てるだけでも楽しいけど、エヴァを知っているからなおさら楽しめました。ゴジラなのにエヴァの新作への期待がとても膨らみました。もちろん、本作だけでも十分に楽しめます。ゴジラが人知を超えた完全なる悪役となっていて、東京を火の海にしちゃうあたりとかすごいです。政府の対応も最初はお笑いごとだったのに、最終的に国家存亡の危機にまでいってしまいます。コミカルとシリアスの切り替えとか、そのあたりのセンスが抜群にいいです。ゴジラも初期形態は「なんだこりゃ?」ってコミカルな感じだったのに、最後は本当にゴジラで、ゴジラのテーマ音楽が流れて、ああ、ゴジラだって感じでした。

色々な見方ができて、いろいろな楽しみ方ができる作品です。エヴァファン、庵野ファン、ゴジラファン、みんな楽しめます。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
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2016年11月19日

映画日記70:KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV



タイトル:KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV

作者:
出版元:アニプレックス
その他:

あらすじ----------------------------------------------
人気RPGゲーム「FINAL FANTASY XV」と同じ世界、時間、キャラクターで描かれたフルCGアニメ。長い間争い続けている魔法国家・ルシスとニフルハイム帝国。ルシス国王直属の特殊部隊・王の剣のニックスが、国の存亡を懸けた戦いに立ち向かっていく。

感想--------------------------------------------------
最近、見たいと思っていた映画の話題作を一挙に見ることができました!!国際線のいいところですね。見たい映画を飛行機で全部見る。こういう人は多いのではないでしょうか。第一弾の本作は、もうすぐ発売予定のPS4の大作、ファイナルファンタジー XVのもう一つの側面を描いた作品です。

戦争を続ける、クリスタルに守られた王国ルシスと、機械を武器に侵略を繰り返し領土拡大を続けるニフルハイム。ある日、ルシスの王都インソムニアを訪れたニフルハイムの使者は、ルシス国王レギスに和平を申し入れたー。

全編CGで作成された本作は、ルシス王国のために命を懸ける、移民により編成された戦闘部隊「王の剣(KINGSGLAIVE)」の話です。王の魔力を分け与えられ、魔法により常人離れした戦闘で敵を退ける「王の剣」。本作の主人公、「王の剣」の一員であるニックスは王女ルナフレーナを守ることになっていきます。

本作の見どころはなんと言っても迫力ある戦闘シーンですね。人間では絶対になしえない魔法と機械を駆使した超戦闘の数々は迫力満点です。冒頭のニフルハイム軍との砦の攻防戦に始まり、ラストの戦いまで素晴らしい出来です。物語はFinal Fantasy XVの前日譚というべき内容で本編への期待は嫌が応にも高まります。ストーリーも、キャラクターも一級品です。

仲間を失いながらも戦い続ける「王の剣」とニフルハイムの機構兵団。最後の戦いでは街全体を含めたド派手な展開になります。しかしルーナ、強すぎる…。飛行中の飛行船から飛び降りたり、アウディに乗ったまま横転したり、、、なのに無傷。このお姫様は何があっても死なないんじゃないだろうか?と思わせるタフぶりです。外見はお姫様っぽいのに。

FFXVの主人公、ノクティスたちも最後に少しだけ出てきますね。ルシスの歴代の国王とかなんかいかにも召喚されそうだし、FFVIIに出てきた召喚獣 ナイツオブザラウンドに似てて、キングスオブルシスとかでてくるのかな?とかって思ったりとか、シガイとかクラーケンとか本編への布石もいろいろと感じる作品でした。

あと少しでFFXVも発売です。私ももちろん買いますが、プレイされる方は、本作もお勧めです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月14日

読書日記618:グラン・ヴァカンス 廃園の天使T



タイトル:グラン・ヴァカンス 廃園の天使T
作者:飛 浩隆
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「いちど観てみたいわ、春を。ここには夏しかないものね」 ぼくは柔らかい春の雨を想像した。美しく残酷な夏の終わりに―― 日本SF大賞受賞作家の初長篇、待望の電子書籍化。仮想リゾート〈数値海岸〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。だが、それは突如として終焉のときを迎える。謎の存在〈蜘蛛〉の大群が、街のすべてを無化しはじめたのだ。わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦が幕を開ける――仮想と現実の闘争を描く〈廃園の天使〉シリーズ第1作。

感想--------------------------------------------------
飛浩隆さんの作品です。国内のSF作品としては非常に有名な作品ですので読んでみました。二段組み三百ページ超とボリュームもあり、読み応え十分な作品です。

千年ものあいだ夏が続く「夏の区界」に暮らすAI、ジュールやジュリーたちの前に、区界を消し去る蜘蛛たちが現れる。「鉱泉ホテル」に立てこもったAIたちは硝子体を武器に蜘蛛たちと戦うがー。

本書を最後まで読み終えて、もっとも心に残った言葉は、「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ。飛にとってSFとはそのような文芸だからである」というあとがき(ノート)に書かれた言葉です。この言葉を持って作品全体を見直すと、なるほど、この作品は間違いなく最上のSFだと再確認できます。

AIと蜘蛛たちの戦い、硝子を操る五人の女たち、ジュールと得体のしれない右目の欠けた老ジュール、そして鉱泉ホテルや夏の区界に生きる様々なAIたち。残虐さと、エロスと、苦痛に満ちた作品です。蜘蛛たちを操るランゴーニによって劣勢に追い込まれるAIたち。そもそも夏の区界とはなんなのか、ここに生きるAIたちの役割は、ランゴーニの目的はー。
読み終えてもこれらの謎が完璧に解けたとは言い切れません。物語は終末を迎えますが、それは新たな始まりでもあります。ただ作者が書くように清新さと、残酷さと、美しさ、これだけははっきりと胸に残ります。

本作がなぜSFの傑作の一つと呼ばれるのか?それは読み終えて読者の胸に鮮烈な印象を残すからに他なりません。蜘蛛たちの作り出す造形、分解され、食われ、取り込まれるAIたちの苦痛、ジュールとジュリーの鮮やかな心、そして鳴き砂の広がる夏の区界の砂浜。ストーリーよりも、文章の描き出す映像や音、そういったものが心に残りました。

何よりも胸に残るのが、鳴き砂の広がる砂浜と海ですね。この海のイメージが夏の区界という名称や「グランヴァカンス」というタイトルと重なって、緩やかな海のイメージを描き出します。

清新さと残酷さと美しさ。

確かにこれらが満喫できるSFの傑作です。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス

2016年11月05日

読書日記617:祈りの幕が下りる時



タイトル:祈りの幕が下りる時
作者:東野圭吾
出版元:講談社
その他:吉川英治文学賞受賞

あらすじ----------------------------------------------
明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。

感想--------------------------------------------------
東野圭吾さんの作品です。代表作である「麒麟の翼」と同じく刑事 加賀恭一郎が活躍する作品です。加賀恭一郎と父親の関係については「赤い指」に描かれていましたが、本作では加賀と母親の関係が描かれています。

東京の下町で女性の他殺体が発見され、その近くでホームレスが焼死体で発見された。事件と自分の過去に繋がりを感じた加賀は、激しく動揺するー。

全くもって、非の打ち所のない作品です。加賀刑事と湯川博士の活躍する作品はどれも一級品ですが、その中でも本作は読み終えて鳥肌が立つほどの作品です。奇を衒うでもなく、加賀や松宮といった刑事たちの地道な捜査が事件の謎を解きほぐしていくのですが、その過程が絶妙です。徐々に見えてくる事件の真相、そこに隠された一つの家族の姿、そして起きる悲劇と、そこにさらに追い討ちをかける悲劇ー。じわりじわりと感動が押し寄せてきます。仙台で一人で死んだ加賀の母親の姿とその生き様も重なり、読み終えたときには爽やかな読後感が残ります。

加賀刑事ものは数多く出ていますが、「赤い指」、「麒麟の翼」などなど数ある東野作品の中でも本当にはずれがありません。いや、はずれがないどころかほぼ全てがミステリーの最高峰といえる作品だと思います。奇想天外なトリックはないですが、人の心の描き方、簡潔な文章、あきさせない展開と、最高峰の人間ドラマであり、ミステリーです。

人生を描いているから、と言ってしまえばそれまでですが、そんな生易しいものではありません。そこには人間の感情の奥深くまで描かれています。本作はぜひ多くの方に、東野圭吾ファンにもそうでない人にも読んでもらいたい作品です。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
posted by taka at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 東野 圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする