2016年07月23日

読書日記602:ママ、もっと自信をもって



タイトル:ママ、もっと自信をもって
作者:中川 李枝子
出版元:日経BP社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
『ぐりとぐら』の誕生秘話が、ここにある。保育士として働いた17年間、子どもから教えてもらったことは、子どもはみんな「お母さんが大好き」ということでした。

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

ぐりとぐら」の名前を知らない人はいないのではないでしょうか。本書は「ぐりとぐら」の作者で児童文学作家の中川李枝子さんが育児について書かれた本です。

本書は二部構成となっており、第一部は保育園の主任保母として十七年勤めてきたご自身の経験をもとに、ご自身の子育て観について書かれています。戦時中に育ち、戦後間もなく保育園の「主任保母」として働くことになった著者は、幼少の頃からの読書の経験を活かし、育児に邁進していきます。

そして第二部は読者である母親たちからの子育てに関する質問に対して、著者が回答する形式で、話が進んでいきます。まさに今、子供を育てている世代からの質問に、母親として、保母として育児に携わってきた著者の回答が光ります。

全体を通じて考えたのは「時代」という言葉と「本質」という言葉です。著者が生まれたのは戦前であり、戦時中を学生として過ごし、戦後に保母として働き始めています。世代的には四十代である私の親の世代ですね。だからかもしれませんが、著者の子育て論、「子育てに正解はない。お母さんは自分の気持ちに正直に、素直に自然に育てればいい」という論は、私には非常にしっくりときます。また読書に非常に重点を置いている点も同じです。よい本との出会いが人を作る。これもよくわかります。

一方で、実際に三歳児を持つ親としての目で見ると、第二部のお母さんたちの質問というのも非常によくわかります。これはまさに我が家の悩みであり、切実な状況である親にしてみると、著者の回答はどこか安穏として感じられる部分もあったりします。
ただ、著者の回答はどれも非常に本質的だと感じます。「保育園と幼稚園どちらがいいのか」、「PTAでうまくやっていくには」、「子供に辛くあたってしまう」こうした悩みは多くの親がお持ちなのでしょうが、著者はその問いに対してやや一歩引いた視線から、適切な回答を出しているように感じました。

「子育ての時期はあっという間に終わってしまう。だから、子育ての辛い今の時期こそ楽しむべき」

こうしたことを言いたいんだなあ、というのがひしひしと伝わってきました。確かに長い人生を思うと、親と子供が共に過ごす子育ての期間なんてほんのわずかなんでしょうね。このあたりも著者の人生経験からの言葉だと思いました。いろいろな情報が溢れるこのような時代だからこそ、流されず、焦らず、自信を持つこと。それが本書のタイトルにもつながってくるのでしょうね。

あとは本について書かれた以下の分が胸に刺さりました。この言葉も真実でしょうね。

「いくら作家や作品に詳しくても、楽しんでいなくては無能である」

これは本書の著者のことばではありませんが、胸に刺さる言葉です。本を読むことを楽しめているか。それは常に自分に問い続けたいところです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A
レビュープラス
posted by taka at 12:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする