2016年05月28日

読書日記594:複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考



タイトル:複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考

作者:石田 章洋
出版元:大和書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
った一つの閃きで複数の問題を解消できる、最小の労力で一気に視界を開く。あらゆるトラブルを片付ける包括的なアイデアの作り方!

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様に献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書はここでも紹介した「企画はひと言」や「スルーされない技術」といった本の著者である、放送作家の石田章洋さんの著作です。「インクルージョン思考」ということで、複数のトラブルを一挙に解決するインクルーシブ(包括的な)思考について書かれた本です。全200ページ程度で、非常に読みやすい本と感じました。

本書では著者の番組制作の経験を反映し、複数の問題を包括的に解決するにはどうすればいいか?という問いに対する答えを提示しています。本書ではインクルーシブな思考へ到達するためのステップとして以下の四ステップを提示しています。

 @高次の目的を決めて旅立つ
 A目的に従って材料を集める
 B異なる分野の材料をつなげる
 C手放して「ひらめき」とともに帰ってくる

本書を読んでいていくつか心に残った表現がありますが、その一つが「マクロの視点で物事を見る」ということですね。「包括的な思考」なので当然なのですが、小さな問題の根源、全体像を見るということは、問題の本質をとらえるということでもあり、非常に重要と感じました。

また四つのステップでは、特に一番目の「高次の目的を決めて旅立つ」というところが印象に残りました。最終章の「インクルーシブ思考を磨く七つの習慣」にも「自らを世界の一部だと考える」という項目がありますが、これとも繋がりを感じます。つまるところ、「利己的な考えを捨て世の中 のためになるような考えを持つ=物事を高次でとらえ、本質的に考える」ということなのかな、と感じました。

アイデアを生み出すプロセス自体は、徹底的に考えて、悩んで、あとは手放す、ということで他の本でも言われていたりしますが、「問題を解決するには利己的であってはならない」という考え方は新鮮で、また救われる気もします。
あと印象に残ったのは「アイデアは追い込まれないと生まれない」という点です。

一般的な感覚としては、良いアイデアはリラックスしている時に生まれる、と考えがちですが、徹底的に追い込み、強制的に書くことでアイデアは生まれると書かれています。もちろんリラックスすることは重要ですが、その前に相当に追い込む必要があるのだ、ということもわかりました。よいアイデアは天才にしか降りてこないと考えていましたが、そういうわけではなく、徹底的に考えている人のところに降りてくるのだ、という考えにも凡人の身としては勇気づけられます。

「インクルージョン思考」というタイトルですが、良いアイデアの発想法について書かれた本、と言ってもいいかと 思います。あっという間に読み切りました。面白い本でした。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月22日

読書日記593:血流がすべて解決する



タイトル:血流がすべて解決する
作者:堀江昭佳
出版元:サンマーク出版
その他:

あらすじ----------------------------------------------
「血液サラサラ」ではなく、「血流たっぷり」をめざしなさい。出雲大社の表参道で90年続く漢方薬局の予約のとれない薬剤師が教える、血流を改善して病気を遠ざける画期的な健康法!

感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。

本書は出雲大社の近くに開業している漢方薬剤師である著者が、訪れる患者の悩みをもとにまとめた本です。血流=血の流れを改善することで身体的な問題や心の問題を解決しよう、というのが本書の趣旨です。どちらかというと女性向けの本ですね。冷えや肩こり、肥満、不妊などに悩む方向けの本です。

人の体を構成する細胞は六十兆個あるが、そのうちの二十兆個は血液に関連した細胞であるー。本書に書かれたこの事実からして、血流の大切さがわかるというものですね。本書では血液の問題を以下の三つに分類して、それぞれの対処法について述べています。

 ・血が作れない→気虚体質
 ・血が足りない→血虚体質
 ・血が流れない→気滞 お(やまいだれに於)血体質

血の問題、というとサラサラ、ドロドロという話になりがちですが、むしろ血液そのものが足りていない、作れていなことが問題の場合の方が多いようです。食事でとりこんだエネルギーや栄養を全身に送るのが血液ですので、血液が足りない、流れていないと身体に問題が生じるのは当然と 言えるかと思います。

著者はこの三つへの対処法を記すとともに、様々な身体の不調への対処例を交えて書いています。詳しくは読んでいただきたいのですが、いくつかの項目はすぐに実践することもでき、食事や呼吸法など簡単に取り組める事柄が多いのも特徴です。

このような本は何冊か読んでいますが、すべてがつながっているように感じますね。食事、血流、睡眠、運動、などなど、基本的には体を適度にリラックスさせて、身体の調子を整え、必要な栄養を摂取する。本当にこれに尽きるかと思います。特にその中でも血流はダイレクトに身体に影響するので、重要な要素と感じました。

本書は様々な科学的事実と、対処法、事例を交えてまとめた非常に読みやすい本でした。また 献本いただくことを楽しみにしています。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月15日

読書日記592:戦場のコックたち



タイトル:戦場のコックたち

作者:深緑 野分
出版元:東京創元社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
一晩で忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的、聖夜の雪原をさまよう幽霊兵士の正体…誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く。第7回ミステリーズ!新人賞佳作入選作を収録した『オーブランの少女』で読書人を驚嘆させた実力派が放つ、渾身の初長編。

感想--------------------------------------------------
王とサーカス」に続きこのミスの二位になっていた作品です。初めて読む作家さんです。

コック兵となったティムはノルマンディー上陸作戦から従軍する。そこで出会ったのは眼鏡のエドやディエゴ、ライナスといったかけがえのない仲間たち。しかし戦争はさらに激しさを増していくー。

全350ページほどの作品ですが二段組みでかなり読み応えはあります。全五章にプロローグとエピローグを加えた作品で、各章の中でティムやエドたち仲間が、戦場で出くわす小さな謎を解いていく、という話です。確かに謎解きの要素はありますが、第二次世界大戦でヨーロッパ戦線を戦う連合軍での仲間同士の絆の描写の方が大きいと感じました。この仲間同士の絆と謎解きがうまく融合していて、「コック兵」という立ち位置も謎にうまく絡み、物語を分厚いものにしています。

読みながら、途中からどんどんと面白くなっていく作品です。物語は最初の方こそ訓練の描写だったりしますが後半に行くほど戦闘は熾烈を極めるようになり、戦友たちも失われていきます。正直、戦争映画並みのきつさで、謎解きよりも戦争ものの小説、と言われた方がしっくりくるかもしれません。

謎解き、戦友たちとの出会いとわかれ、戦争に慣れていくティムと仲間たち…。各要素が絡み合い、最後に迎える結末は悲しくもすっきりとした感想を読者にもたらします。分量に見合った、重厚さを読み手に与える作品ですね。第二次大戦のヨーロッパの状況をこれだけ調べ上げた著者の力量にも感服です。重厚であり、すっきりとした感触をも与える良作だと思います。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス

2016年05月07日

読書日記591:マルドゥック・アノニマス 1 by冲方 丁



タイトル:マルドゥック・アノニマス 1
作者:冲方 丁
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
『マルドゥック・スクランブル』から2年―自らの人生を取り戻したバロットは勉学の道に進み、ウフコックは新たなパートナーのロックらと事件解決の日々を送っていた。そんなイースターズ・オフィスに、馴染みの弁護士サムから企業の内部告発者ケネス・C・Oの保護依頼が持ち込まれた。調査に向かったウフコックとロックは都市の新勢力“クインテット”と遭遇する。それは悪徳と死者をめぐる最後の遍歴の始まりだった。


感想--------------------------------------------------
楽しみに待っていたマルドゥック作品の第三作目、「マルドゥック・アノニマス」。その第一巻目です。いつ出るのかと思っていましたが、ようやく出ました。あとがきに書いてありますが、「マルドゥック・スクランブル」が刊行されてから十三年が経っての刊行です。待ちに待った、という感じですね。

イースターズ・オフィスで新しいメンバーたちと事件解決に取り組むウフコックとイースター。そんな一人と一匹のもとに新しい事件が舞い込む。それは新たな激闘の始まりだったー。

十年以上の時を経ているというのに、数行を読み進めるとすぐにマルドゥック・スクランブルの世界に戻る事ができます。ドクター・イースター、金色のネズミのウフコック、そしてルーン・”バロット”・フェニックス。おなじみのメンバーとおなじみのマルドゥックシティ。そして繰り広げられる特殊な能力を持つ強化者(エンハンサー)同士の戦い。テンポの良い文章で語られる、頽廃したマルドゥック・シティで繰り広げられるバイオレンスアクションはまさに一級品のSFです。日本SF大賞を受賞した第一作目の世界を継承する世界がここに繰り広げられていること自体に感動しますし、読み進めるとどんどんと物語に引き込まれていきます。

マルドゥック・スクランブル」がルーン・バロットの再生を、「マルドゥック・ヴェロシティ」がデムズデイル・ボイルドの生き様を描いた作品だとすると、本作「マルドゥック・アノニマス」はウフコック・ペンティーノの死に様を描いた作品との事です。しかし第一巻である本巻を読んだだけではまだその死に様にまではたどり着いていませんね。イースターズオフィスの面々と新たな敵<クインテット>という特殊な能力を持つエンハンサー同士のバトルに終始し、それはそれで十分に読み応えはあるのですが、ウフコックの死に様については断片的に顛末が語られていくだけです。

少女・バロット、タフガイ・ボイルドの二人と比較すると悩めるネズミ・ウフコックは、キャラ的にやはり少し弱い印象があり、なかなかその死に様で読者を魅了する事は難しいと思いますが、この先の展開には期待大です。個人的にはやはりバロットにウフコックを使ってほしいなあ、と思います。バロットとウフコックのコンビは、ファンとしてはやはり見てみたいですね。次巻も楽しみです。



総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S
レビュープラス
posted by taka at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 冲方 丁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする