2015年01月15日

読書日記522:さよなら妖精 by米澤穂信



タイトル:さよなら妖精
作者:米澤穂信
出版元:東京創元社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるやって来た少女、マーヤ。謎を解く鍵は記憶の中に…。余韻あふれる出会いと祈りの物語。

感想--------------------------------------------------
このミスの大賞になった「満願」の著者でもある米澤穂信さんの作品です。今から十年も前の作品なのですね。積まれていた本ですが読んでみました。

一九九一年四月に僕は一人の異国の少女と藤柴市で出会った。彼女との出会いが日常の謎の扉を開いていく−。

米澤穂信さんの作品は、ミステリでありながら殺人や誘拐といった犯罪を扱うのではなく、「日常に隠された謎」を扱う点に特徴があると感じています。それは「氷菓」から始まるアニメ化もされた古典部シリーズがそうであり、小鳩くんと小山内さんが活躍する「春期限定いちごタルト事件」から始まる小市民シリーズがそうであります。「インシテミル」や「折れた竜骨」など、殺人を扱った作品もありますが、一般的なミステリーと一味違う見せ方をしているのが特徴です。

さて本作ですが、異国の少女との出会いをきっかけに、彼女がきっかけを与えてくれる日常の小さな謎を解き明かしていく、という点は他の作品とよく似ています。また主人公である高校生の守屋、男友達である文原、女友達である太刀洗、白河と出てくるあたりは、古典部シリーズを髣髴とさせ、異国の少女 マーヤまで含めた五人のやり取りは凄くいいです。文章ははっきり言って、冗長です。様々な伏線が含まれているとしても、それでも冗長です。ただ冗長ではあるけれど、不思議と読みにくく感じないですね。物語と登場人物に魅力があるからかもしれません。

しかし本作は、残念なことに終わり方がよくありません。「え?」という衝撃と供にどん底に落とされて終わります。この終わり方は、この方の作品である「ボトルネック」に通じるところがあります。なぜにこのような終わり方にしたのか?なんの必要性があってこうしたのか?正直、理解できません。「清新なボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ」と書かれていますが、それであればもっと別の終わり方もあったはずです。何かを暗示させたかったのか?予想を裏切りたかったのか?などなどいろいろと考えるのですが・・・。最初からこの終わり方ありきで書いていたのでしょうか。青春を通しての出会いと別れ、を描くのであれば、他の終わらせ方もあったのではないかと思います。ちょっと短絡的過ぎて、残念に感じました。

正直、本作はこのかたの本としては個人的にはあまりお勧めはできないです。読者の期待を悪い意味で裏切ってしまっているのが、少し残念です。この方の作品を読むのであれば、アニメ化で一躍有名となった「古典部」シリーズや映画化された「インシテミル」などがお勧めです。「満願」もそのうち読むつもりです。

総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):
レビュープラス
posted by taka at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 米澤 穂信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする