2014年06月18日

読書日記489:スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実



タイトル:スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実
作者:ルーク・ハーディング Luke Harding, 三木俊哉 (翻訳)
出版元:日経BP社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
全世界のメール、SNS、通話は、米国NSAの監視下にあったースノーデンは衝撃の事実を次々と語った。米国政府の情報収集活動の実態を暴き、2014年のピュリッツァー賞に輝いた『ガーディアン』紙が描く舞台裏の攻防。


感想--------------------------------------------------
レビュープラス様から献本いただきました。いつもありがとうございます。

エドワード・スノーデンという人は、アメリカ国家安全保障局(NSA)から機密情報を抜き出して暴露し、NSAの本当の狙いを全世界に知らしめた人です。米国、いや全世界を行き交うEメール、電話、SNS上の情報は全て監視されている、それどころかマイクロソフトやアップル、フェイスブックという情報大手企業のサーバーにNSAはアクセスして情報を抜き出すことが出来る、という現実にまずは驚かされます。そしてまた、この事件がおきてからまだ一年足らずの時間しか経っていないことに再び驚かされます。

本書はこのスノーデン事件について様々な角度から追ったノンフィクションです。スノーデンの生い立ち、事件を起こすに至った背景などが描かれているのですが、何よりも抜き出した情報を全世界に暴露するまでの経緯、『スノーデンファイル』と呼ばれるNSAの一連の機密情報を巡る米英政府と『ガーディアン』誌編集部との攻防はハリウッド映画顔負けの緊迫感溢れる展開で、ノンフィクションであることを忘れて没頭してしまいます。またスノーデンが暴露した事実−全世界の人々のEメールやフェイスブックなどの情報は当局に監視されているという事実−が公表された後の各国の対応も事細かに書かれており、ここも興味を引かれます。

本書はまさにこの『ガーディアン』誌の編集者が書いたものであり、ノンフィクションに独特の事実を追った書き方なのですが、それが逆に緊迫感や各国の思惑などを際立たせ、読み手に迫力を持って迫ります。本当に、下手なサスペンスのフィクション映画よりも遥かに面白い本です。

スノーデンという一人の青年が引き起こした事件は、オバマ、メルケル、オランド、プーチンといった各国の首脳をも巻き込み、やがては「テロを断つには監視が必要」というグループと「個人のプライバシーを守るために監視は不要」というグループとの二派に分かれ(一般市民はほとんど後者ですが)、論争を繰り広げていきます。次々と暴露される『監視』の実態は恐るべき者で、各国首脳の電話やEメールも軒並み米英に盗聴されていた、という事実まで明らかになっています。−日本ではこの事件についてはほとんど話題になりませんが、なぜなのでしょうね?日本の首脳の電話やEメールも間違いなく盗聴されていたと思うのですが。

この事件については私も名前だけは聞いたことがありましたが、実際のところは良く知りませんでした。しかしこの本を読むことで、細部まで良く理解できると供に、監視国家の実態がよくわかりました。−個人的には『監視している』ということが暴露された後でも言い逃れを続け、現行の体制を維持しようとし続ける首脳たちや、圧倒的な権力でスノーデンやスノーデンに味方する者を妨害しようとする者たちの方が、『監視国家である』という実態よりも恐ろしく感じられました。恐らく、いまではどの国のどんな情報でも当局の監視下にあるのでしょうね。唯一、暗号化は有効だと書かれていますが、NSAは暗号解読のプロジェクトにとんでもない額の投資をしているようで、本気になればできないことはないのではないかとさえ感じてしまいます。。。

圧倒的な迫力で、多面的に『スノーデン事件』を描いた本書はノンフィクションの良書だと思います。何よりもこの事件が起きてからまだ一年しか経っていない、つまりは本書に書かれている内容はつい最近のものなのだ、ということが恐ろしくも感じられます。

全ての引き金になったエドワード・スノーデンは米英をはじめとする西欧諸国から狙われ、現在はロシアに一年という期限付きで亡命中のようです。そして、その一年の期限が切れるまであと少しです。今年の後半にかけてこの事件はどのような動きを見せるのか、決して過去の事件ではなく、現在進行形でまだ続いているこの事件に関する本書を読むなら、今かな、と感じます。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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レビュープラス
posted by taka at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする