2014年05月15日

読書日記481:マルドゥック・ヴェロシティ1 by冲方 丁



タイトル:マルドゥック・ヴェロシティ1
作者:冲方 丁
出版元:早川書房
その他:

あらすじ----------------------------------------------
戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男ーディムズデイル=ボイルド。肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。


感想--------------------------------------------------
冲方 丁さんのSFの傑作であり日本SF大賞も受賞した「マルドゥック・スクランブル」。映画化もされたこの作品は、私も大好きなのですが、本作「マルドゥック・ヴェロシティ」はその続編です。今年からマルドゥック三部作の最終章である「マルドゥック・アノニマス」が始動するとかしないとかといった噂もあるのでまずは「マルドゥック・スクランブル」の続編である本作の第一巻から読んでみました。

誤った目標への爆撃により大勢の味方を殺害したディムズデイル・ボイルドは軍研究所で肉体を改造され、最高のパートナー ウフコックと出会う−。

「マルドゥック・スクランブル」が少女ルーン・バロットの戦いと再生の物語だとすると、本作「マルドゥック・ヴェロシティ」はバロットのライバルである「虚無」ボイルドの再生の話です。味方に爆撃を加えたビジョンに悩まされていた彼は、ウフコックとの出会いを通じ、自らとウフコックの有用性を証明する事でマルドゥック市で生きていくことを選んでいきます。両者に通じているのは、二人とも相棒として知能を持つ万能兵器であるネズミ ウフコックがパートナーであること。性格も立ち位置も全く違いますが、二人に重なる部分があることも確かです。

全三巻のまだ第一巻ですが、やはり冲方 丁さんの作品だけあり、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。文章も特殊で、単語や体言止めを連ねていく文体であり、軍属上がりであるボイルドの状況認識を現わすような文体で、簡潔に状況が理解でき、これはこれで面白く感じました。

研究所を出て仲間達と供にマルドゥック09の執行人として活躍していくボイルド。一巻を読んだ限りでは「マルドゥック・スクランブル」での圧倒的な存在感を示す強敵というよりも、法の執行人として活躍する刑事、という印象が強いです。重力場を駆使して敵を葬るボイルド。さらに変身能力や圧倒的なパンチ力など様々な特技を生かして活躍する仲間達。おそらく本シリーズではボイルドとウフコックが袂を分かった理由までが語られることになるのかと思いますが、まだまだここまでは刑事ドラマに近い印象ですね。もちろん、圧倒的に面白いのですが。

本作は「マルドゥック・スクランブル」のラストの戦闘シーンから始まるので「マルドゥック・スクランブル」を読んでおくことが必要ですが、ファンにはたまらない本かと思います。「マルドゥック・スクランブル」に本作「マルドゥック・ヴェロシティ」、さらに短編集「マルドゥック・フラグメンツ」、そして最終章である「マルドゥック・アノニマス」。日本SF界の最高傑作シリーズになること間違いなしかと思いますし、間違いなく全部読むと思います。とにかく「「マルドゥック・アノニマス」始まって欲しいですねー。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):


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posted by taka at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 冲方 丁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする