2013年10月16日

読書日記442:空飛ぶ広報室 by有川 浩



タイトル:空飛ぶ広報室
作者:有川 浩
出版元:幻冬舎
その他:

あらすじ----------------------------------------------
不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺坂(またの名を詐欺師鷺坂)をはじめ、尻を掻く紅一点のべらんめえ美人・柚木や、鷺坂ファンクラブ1号で「風紀委員by柚木」の槙博己、鷺坂ファンクラブ2号の気儘なオレ様・片山、ベテラン広報官で空井の指導役・比嘉など、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった……。有川浩、渾身のドラマティック長篇小説。


感想--------------------------------------------------
少し前まで日曜日に連続ドラマとして放映されていた「空飛ぶ広報室」。その原作本です。原作者は有川浩さん。このブログでも何冊も紹介している作家さんです。いま日本で最も売れている女性作家さんの一人でしょうね。ちなみに私はドラマは見ていません…。

事故によりブルーインパルスのパイロットを辞せねばならなかった空井は航空自衛隊の広報室勤務となる。そこには広報室に出入りしている帝都テレビの稲葉リカをはじめ、個性的な面々が揃っていた−。

この方の作品は読み始めてすぐに「ああ、有川浩の作品だ」と分かりますね。テンポの良い文章、個性的なキャラクター、ベタ甘なストーリー展開、ああ何度も読んだな、と思い出します。有川作品の中でも、私は特にこの作品は「図書館戦争」シリーズによく似ているな、と感じました。

しかしこの方の作品には本当によく自衛隊がでてきます。「塩の街」、「空の中」、「海の底」の自衛隊三部作に「図書館戦争」シリーズと、自衛隊がらみの作品は山ほど書いていますが、この作品もまさに自衛隊、特にその広報室ということで、著者の大得意とする分野です。

自衛隊で、ベタ甘なストーリー展開で−と類似点は多いのに、なぜか不思議とこの方の作品はどれも読もうという気になるし、読んで感動を覚えます。読者のキャラクターへの感情移入のさせ方が非常に上手い、というのがその理由かな、って感じます。キャラクターが個性的で生きているので、読んでいると自然に自分がキャラクターの目線に立って考え出すんですね。この辺りはこの方の作品のどれにも共通していて、本当に上手いと感じるところです。ストーリー展開はまさにこの方の小説の王道ストーリーで安心して読めます。また随所に自衛隊の専門知識(戦闘機とかブルーインパルスとか)が分かり易く語られていたりします。

あと本作はその名前のとおり航空自衛隊の広報室が舞台の作品ですが、この舞台設定が凄く上手いです。「自衛隊」という国民からすると少し閉じた、ともすると誤解されがちな世界を、世に知らしめようとする広報。それだけでも相当な苦労があるだろうことは予想されます。しかしその広報室もこの著者にかかると非常に明るく楽しい職場になってしまいます。この本自体の企画も実際に航空自衛隊の広報室から持ち込まれた物だそうですね。この著者にこの企画を持ち込んだ広報室の勝ちですね。実際、ドラマの影響もあり、その広告効果は凄まじいのではないでしょうか。


僕たちの活動が、国民の安心に繋がっている。そういう風に伝えて欲しい。


物語の終盤で空井がリカに言う言葉です。常に存在意義を問われ、叩かれ、それでも有事の際には一番に駆けつけ、危険と向き合って活躍する自衛隊。ともすれば彼らも我々と同じ人間であることを忘れてさえしまいそうですが、そこをしっかりと押さえ、生き生きとしたドラマとして描いた著者の腕はやはり一流ですね。有事に対する覚悟を持つ彼らに我々国民は支えられているのだということは、先の大震災の際にもしっかりと証明されました。国民の安心を支える自衛隊に対して我々は何を出来るのか、そんなことも考えてしまう本です。

最後に、本書の最後には「あの日の松島」という章で震災後の松島基地の様子がリアルに描かれています。激しい訓練を受けた自衛隊員ですら取材の途中に涙を流す人が数多くいたそうです。短絡的に自衛隊=戦争と結び付けてしまう人もいますが、彼らも人間であり、彼らによって多くの人が助けられていることを忘れてはいけないと感じます。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):A


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posted by taka at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 有川 浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする