2013年01月05日

読書日記392:リーン・スタートアップ byエリック・リース



タイトル:リーン・スタートアップ ームダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
作者:エリック・リース (著), 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長) (解説), 井口 耕二 (翻訳)
出版元:日経BP社
その他:

あらすじ----------------------------------------------
思い込みは捨てて、顧客から学ぼう!「構築‐計測‐学習」というフィードバックループを通して、顧客も製品・サービスも生みだし育てるシリコンバレー発、注目のマネジメント手法。



感想--------------------------------------------------
リーン・スタートアップと言う言葉はトヨタ生産方式を基に産み出されたリーン生産方式が基になった言葉だそうですね。本書はリーン生産方式を「生産」だけでなくマネジメントにまで適用した、リーン・スタートアップに関する本です。まだ今年の四月に出たばかりの本で、解説をメディアにもよく出てくるMITメディアラボの伊藤譲一さんが書かれています。


なぜ起業や新製品開発といったスタートアップはうまくいかないのか?

この問いについて著者のエリック・リースは、全てが不確実なスタートアップについて、綿密な事業計画を立てることに無理がある、といった趣旨のことを述べています。事業計画を立て、計画通りに遂行しても結局は「うまくいかない」という結果だけが得られることになります。計画通りに実行したのにうまくいかないことほど悲しいことはないですね…。

本書では壮大な計画を立てて実行する代わりに、「実用最小限の製品」をつくり、構築−計測−学習のループを速く回すことで顧客の価値を本当に増加させる機能は何なのかをしっかりと見定めて行くことが必要、と言っています。その際の評価基準としては「行動につながる評価基準」を設定し、「虚栄の評価基準」は置かないなど、細かな決め事はありますが、とにかく「実用最小限の製品」を作成し、それを市場に投入して、顧客の価値を増加させているかを適切な評価基準で測っていく、ということになります。トヨタ生産方式を基にしているそうですが、非常に実用的な方法だな、と感じました。

本書で書かれている方法は非常に実用的であり、すぐにでも新製品開発に適用したいな、と思うのですが、その一方で構築−計測−学習のループを回すためには、特に計測の部分で、ある程度の顧客フィードバックを得る必要があり、そのためにはある程度のマスの顧客を取れる、コンシュマー向けビジネスが適しているのかな、とも感じます。高額な少量生産品などでは顧客意見にばらつきが大きそうで、こういった点では顧客の意見をどのように分析するか、その手法も重要かと感じます。

顧客は自分で欲しいものが自分でもわかっていない。

この言葉は胸に響きますね。顧客が「欲しい」と言っているものが必ずしも顧客の欲しいものではなく、その欲望を自分でも把握していないことがかなりある、というのはよく覚えておくべきことかな、とも感じました。


しかしこの本に出てくる失敗例というのは日本の大企業の多くにも当てはまるのではないかと感じられます。

もっとがんばれと労働者に言うだけでは駄目だ。いまの問題自体、間違ったことをがんばりすぎるのが原因なのだから。

この言葉も胸に響く言葉です。本書を読んでいくと、間違ったことにどれだけ多くのお金や時間を投入しているのだろうかと不安にもなります。これは仕事に限らず人生のいろいろな面でも当てはまる言葉ではないかと思います。手段が目的とすりかわり、いつしか「長時間働くこと」が目的となってしまっているなんてことも往々にしてありそうです。


本書は上記のように非常に示唆に富んだ内容の多い良書ですが、一方で内容がまとまっているかと言うとそうでもありません。事例と著者の考えとリーン・スタートアップのポイントが入れ替わり現れてくるため、むしろまとまりのない印象さえ受けます。ただ、上のような示唆に富んだ言葉は多く、特に新規事業の立ち上げや起業を考えている人はぜひとも読むべき本だと感じました。


……余談になりますが、本書のような本が日本から出てこないのが少し残念でもあります。もとはトヨタ生産方式なので、誰かが思いついても良さそうなのですが、、、。特定の個人や企業の成功例にばかり着目したがる日本と、その成功例を解明して一般化したセオリーに落とし込むアメリカとの違いなのかな、と感じます。こうした論理的に追求していく姿勢は「これからの正義の話をしよう」でも感じたのですが、欧米の方がやはりまだまだ強そうです。


総合評価(S・A・B・C・D・Eの6段階評価):S


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posted by taka at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする